2023 Fiscal Year Annual Research Report
区画化型スキャンストラテジーを駆使した歯科補綴装置の高機能・長寿命化
Project/Area Number |
20K10068
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高市 敦士 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 講師 (30707047)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 粉末床溶融結合法 / Selective laser melting / Powder bed fusion / レーザースキャン戦略 / 残留応力 / 適合性 / 歯科補綴装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
レーザー積層造形(SLM)法は,高出力のレーザーを粉末材料に照射し溶融凝固させた薄い層を積み重ねることで3次元的な製品を製造する技術で,複雑な形状でも半自動的に直接製造が可能となるため近年歯科補綴装置への応用が拡大している.しかしながら,SLM法では造形過程における急激な温度勾配に起因した残留応力が発生し,造形体に変形が生じることが明らかになっている.残留応力の低減にはレーザースキャンベクトル長を短くすることが有効であると報告されている.本研究では,レーザースキャンベクトルが短くなるように新たに考案した区画化型スキャン戦略(区画化法)のSLM法で製作したブリッジの適合精度への影響を検証することを目的とした.新たに考案した区画化スキャンストラテジーを用いて3ユニットブリッジと4ユニットブリッジを製作し,ブリッジ内面と支台歯模型との間隙量を適合診査材(フィットチェッカーアドバンス,GC社)の厚みを共焦点レーザー顕微鏡で測定しすることで求めた.その結果,3ユニットブリッジでは通法と区画化法では適合精度に有意な差が認められなかった一方で、4ユニットブリッジでは通法と比較し区画化法で良好な適合精度を示し,特にマージン部に関しては適合精度が有意に改善した.残留応力測定の結果,レーザースキャン戦略の違いによる残留応力低減の効果はレーザースキャンベクトルが短くなる方向で一部認められ,区画化境界(クラウンとポンティックの連結部)においてはいずれのブリッジにおいても残留応力の減少が認められた.一方で4ユニットブリッジにおいてはポンティック中央の残留応力は通法と比べて大きかった.これは通法が造形中の変形により応力緩和が生じた可能性がある. 以上の結果よりSLM法で大型の歯科補綴装置製作において区画化スキャンストラテジーを応用することで適合精度を改善できる可能性を示唆された。
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