2020 Fiscal Year Research-status Report
Effect of chewing task on dysphagia
Project/Area Number |
20K10069
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
辻村 恭憲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00548935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
上羽 瑠美 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10597131)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 咀嚼 / 嚥下 / 咳嗽 / TRPV1 / ASIC |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は健常成人および麻酔下動物を対象に実験を行った.ヒト実験では,3種類の気道防御運動の活動比較と咀嚼条件の違いによる嚥下運動比較の2つの実験を行った.最初の実験では随意嚥下,随意咳嗽,ハフィングの嚥下・呼吸関連筋活動を比較したところ,舌骨上筋活動は随意嚥下が随意咳嗽・ハフィングより有意に大きく,外腹斜筋活動は随意嚥下が随意咳嗽・ハフィングより有意に小さかった.2つ目の実験では,米飯の自由咀嚼とよく噛んだ咀嚼の条件で比較したところ,舌骨移動量および嚥下時筋活動持続時間には差がないことが確認された.動物実験では,嚥下誘発におけるカプサイシン感受性神経の役割を検証した.カプサイシン感受性神経を選択的に抑制する目的で,カプサイシンと膜不透過性のリドカイン誘導体QX-314を喉頭に同時滴下(QX-Capモデル)したところ,投与後5分でカプサイシン誘発嚥下はほぼ完全に抑制された.QX-Capモデルを用いて,自然刺激として喉頭に機械刺激(von Frey式フィラメント)および化学刺激(蒸留水・炭酸水)を与えて,それぞれの嚥下誘発効果を調べたところ,機械および蒸留水誘発嚥下はコントロールと差がなく,炭酸水誘発嚥下はコントロールより強く抑制された.また,炭酸水誘発嚥下はTRPV1ブロッカーでは抑制されず,ASIC3ブロッカーで濃度依存的に抑制された.TRPV1陽性迷走神経節細胞の多くがASIC3を発現していると報告なされていることから,炭酸誘発嚥下にはカプサイシン感受性神経に発現したASIC3受容体が重要な役割を果たしていると推察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト実験では気道防御運動の比較を行い,動物実験では炭酸水刺激誘発嚥下に関わる神経機構の一端を解明し,研究成果を国際誌に公表することができたため. また,ヒトを対象として咀嚼条件の違いによる嚥下運動の比較の実験を実施している.
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト実験は,データ数を増やして,咀嚼タスクが嚥下に与える影響の検証を進める.動物実験は,病態モデル動物を用いて,咀嚼および嚥下活動への影響を検証する.
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Causes of Carryover |
(理由)購入予定だった備品のいくつかが不要となったため. (使用計画)次年度の動物購入費に当て,より多くのデータを収集する.
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Research Products
(2 results)