2021 Fiscal Year Research-status Report
Effect of chewing task on dysphagia
Project/Area Number |
20K10069
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
辻村 恭憲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00548935)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
上羽 瑠美 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (10597131)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 咀嚼 / 嚥下 / 一口量 / 食塊動態 / 筋活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
“よく噛むこと”は全身の健康の維持および増進に良いと広く認識されているものの,“よく噛むこと”が嚥下動態に与える効果は検証されていない.本年度は,“よく噛む”という指示による咀嚼意識化が食塊動態と嚥下時筋活動に与える影響を明らかにすることを目的に実験を行った.健常成人男性を対象として,異なる量の米飯(8, 12, 16g)を自由摂取とよく噛む(咀嚼意識化)の2条件で摂取させ,嚥下造影検査と筋電図記録装置を用いて食塊動態と嚥下関連筋活動を計測した.実験後のアンケートでは,被験者の9割以上が12gを普段の一口量に近いと回答し,8gは少ない,12gは適切,16gは多い一口量と考えられた.いずれの摂取量においても2条件間で嚥下時の嚥下関連筋活動持続時間,最大振幅,積分値および舌骨移動量に差はなく,咀嚼意識化による嚥下運動への影響は少ないと考えられた.一方で,食塊の初回嚥下時の下咽頭移送時間は,摂取量に応じて異なる効果を示した.すなわち,咀嚼意識化により8gでは変化なく,12gでは下咽頭通過時間が短縮し,16gでは逆に延長した.12gでは咀嚼意識化により自由摂取と比較して下咽頭通過速度が上昇しており,そのことが下咽頭移送時間の短縮に寄与していると考えられた.一方,16gでは,咀嚼意識化により初回嚥下時食塊量が増加し,この増加量は食道入口部通過時間の延長時間と正の相関関係を認めたことから,初回嚥下時の下咽頭移送時間の延長は嚥下時食塊量の増加に伴う食道入口部通過時間の延長に起因していると示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトを対象として咀嚼条件の違いによる嚥下運動の比較の実験を検証し,研究成果を国際誌に投稿する段階まできているため.
|
Strategy for Future Research Activity |
自由摂取と咀嚼意識化時の咀嚼動態の違いを食塊動態と嚥下関連筋活動から,詳細に検証していく予定である.
|
Causes of Carryover |
(理由)購入予定だった物品のいくつかが不要となったため. (使用計画)次年度に使用する記録用電極の購入にあてる.
|