2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K10080
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中山 渕利 日本大学, 歯学部, 准教授 (10614159)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 嚥下機能 / 咀嚼機能 / 認知機能 / 骨格筋量 / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、東京都文京区にある特別養護老人ホームで調査を行った。調査当時の入所者総数は97名で、そのうちペースト食を摂取している者や重度の認知症により協力が得られない人、全く歯が無い人を除いた、32名(平均年齢88.5歳、男性4名、女性28名)に対して調査を行った。そのうち、調査当日に体調不良(1名)と義歯不適(6名)の者を除き、25名のデータを得ることができた。 前年度に収集した分を含めると、これまでに79名(平均年齢88.8歳、男性18名、女性61名)のデータが収集できた。この調査結果をもとに、要介護高齢者の食事形態に関連する要因について解析を行った。解析方法としては、対象者を日常的に摂取している食事形態をもとに常食群、軟菜食群、ソフト食群の3群に分け、年齢、性別、要介護度、BMI、MNA-SF、ABC認知症スケール、アイヒナー分類、ふくらはぎ周囲長(CC)、握力、ASMIおよび咬筋、舌、オトガイ舌骨筋の厚みについて群間比較し、食事形態との関連性を検討した。群間比較は分散分析後にTukeyのHSD法を用い、関連性についてはSpearmanの順位相関係数で評価した。有意水準は5%とした。その結果、要介護度、BMI、MNA-SF、CCおよびABC認知症スケールのドメインAにおいて、常食群とソフト食群の間に有意差を認めた。また、要介護度、BMI、MNA-SF、ドメインAにおいて、食事形態との間に弱い相関を認めた。本研究の結果により、ソフト食を摂取している者では常食を摂取している者と比べて、栄養状態が不良かつ認知機能が低下している傾向が認められた。この研究成果については、日本老年歯科医学会第33回学術大会にて発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度では新たに東京都内の特別養護老人ホームにて調査許可をいただき、新たに25名のデータを追加することができた。これにより、これまで収集したサンプル数は79名となった。2群比較であれば、現時点のサンプル数でも統計学的な解析が可能なため、令和4年度はこれまでの収集データをもとに、学術大会での発表と学術雑誌への論文の投稿を行う予定である。 また、令和4年度については令和2年度に調査に協力いただいた被験者に対しての調査を予定しており、ご協力いただく施設職員との打ち合わせを開始している。 上記の理由により、進捗状況としてはおおむね順調に進展しており、令和4年度の調査もおおむね予定通りに行えるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 令和2年度に調査を行った施設での追跡調査 令和2年度の調査対象者のうち、38名が現在も入所中とのことなので、この38名に対してこの2年間に窒息や誤嚥性肺炎の発症がなかったか聞き取り調査を行うとともに、再び同じ検査を実施して経口摂取状況、認知機能、骨格筋量および嚥下関連筋の筋量の2年間の推移について調査を予定している。最終的には、これらが咀嚼能力に与える影響について検討することを目的としている。 2. 令和3年度で収集したデータの解析 令和3年度に収集したSaku-Saku Test中の下顎運動の画像データをモーションキャプチャで解析し、軽度認知症者と重度認知症者の下顎運動の違いについて検討する。 3.研究成果の発表 これまでに収集した79名のデータをもとに、施設内で提供されている食事形態で群分けして比較したところ、要介護度、BMI、MNA-SF、ふくらはぎ周囲長、ABC認知症スケールに統計学的に有意な差があることが明らかになった。この結果については、日本老年歯科医学会第33回学術大会にて発表を予定している。さらに、Saku-Saku Test中の下顎運動の画像データの解析を行い、この結果については、第28回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会にて発表を予定している。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス禍により、予定していた日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会での発表を見送ったことで、旅費が不要となったため残金が生じた。次年度の繰越金は令和4年度の助成金と合わせて、学会参加費や論文執筆時の英文校正費に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)