2020 Fiscal Year Research-status Report
義歯粘膜面における口腔内細菌付着抑制の実現に向けた新規研磨メディアの開発と評価
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20K10084
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
樋口 鎮央 大阪歯科大学, 医療保健学部, 講師 (80826644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
錦織 良 大阪歯科大学, 医療保健学部, 講師 (00569692)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 義歯粘膜面の研磨 / エアロラップ / メディア開発 / プラーク付着抑制 / 義歯床用材料全般 / 低摩耗量 / 表面滑沢性 |
Outline of Annual Research Achievements |
急速に高齢化が進む我が国では、入れ歯(義歯)に対する需要増加が予想される。一方、高齢の義歯利用者の呼吸器感染症などの発生が急務の課題である。しかし、従来の義歯の研磨方法では適合精度の問題で義歯の粘膜面の十分な研磨を行うことができず、義歯プラークが蓄積しやすかった。そこで、本研究では新たな研磨法であるエアロラップ法による義歯粘膜面の研磨に着目し、これまで最も多く使用されているが効果の無かった義歯用材料にも研磨に最適な新規の研磨メディアの開発を行い、高齢の義歯利用者へ清潔な義歯提供を目的とし、義歯利用者の呼吸器感染症などの予防、改善に貢献できる。 <初年度>①器材導入:本研究で用いるエアロラップ法のための機材を購入し、新規研磨材の主要構成成分を以下に示す。砥粒材:粒度(0.1 mm - 2.0 mm)砥粒付加材:粒度(0 - 0.25μm) (ダイヤモンド粒子)を導入し、使用方法、メディアの水分コントロール等を調整し、メーカーに確認を取りながらテスト使用を繰り返す。②試験試料の作製:研磨対象物として下記の材料でφ12 mm厚さ1 mmの試験片を各9枚作成する(担当者:代表研究者)樹脂材料5種と金属材料2種を作製するための原型試料の形状を一定に揃えるために3Dプリンターを用いて造形用材料を変えて変形の少ない材料を選定中。選定後、各試験試料を作製し、その補助治具も作製中。③予備試験:試料ができ次第、並行して予備試験を行うために、in vitroによる表面の汚れ・付着と洗浄能力の評価を行うために試薬等必要器材購入し、分担研究者に試料作製、試料の研磨、試料の表面性状評価、in vitroによる表面の汚れ・付着と洗浄能力の評価を行う予定。予備試験実施について分担研究者および、口腔内細菌等を取り扱う専門分野の担当者との事前打ち合わせを行い、試験方法の進め方についての情報共有を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
<初年度>①器材導入:本研究で用いるエアロラップ法のための機材を購入し、新規研磨材の主要構成成分を以下に示す。砥粒材:粒度(0.1 mm - 2.0 mm)砥粒付加材:粒度(0 - 0.25μm) (ダイヤモンド粒子)を導入し、使用方法、メディアの水分コントロール等を調整し、メーカーに確認を取りながらテスト使用を繰り返している。こちらは十分時間をかけて水分コントロールをしなければ、適正な状態が得られないことが分かったので水分計を使用しながら一定時間の調整を行うこととした。②試験試料の作製:研磨対象物として下記の材料でφ12 mm厚さ1 mmの試験片を各9枚作成する(担当者:代表研究者)樹脂材料5種と金属材料2種を作製するための原型試料の形状を一定に揃えるために3Dプリンターを用いて造形用材料を変えて変形の少ない材料を選定中。こちらは試験試料が多いため、時間の関係で試験片の数量を調整する必要があれば、調整する予定である。試験試料作製用原型を一定サイズに揃えるために3Dプリンターにて作製しているが使用材料によっては大きく経時変化を起こすことが判明し、使用する材料を絞り込んでいる。試料用原型の造形が終わり次第、各試験試料を作製し、口腔内細菌培養のための補助治具も作製中である。③予備試験:少量の試料ができ次第、並行して予備試験を行うために、in vitroによる表面の汚れ・付着と洗浄能力の評価を行うために分担研究者に試料作製、試料の研磨、試料の表面性状評価、in vitroによる表面の汚れ・付着と洗浄能力の評価を行う予定。予備試験実施について分担研究者および、口腔内細菌等を取り扱う専門分野の担当者との事前打ち合わせを行い、試験方法の進め方についての情報共有を行った。その上で試薬等、必要器材を発注購入し、随時納品されている。試験試料原型の造形ができ次第、試験試料の作製に取り掛かる。
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Strategy for Future Research Activity |
①試験試料作製用原型を一定サイズに揃えるために3Dプリンターにて作製しているが試料用原型の造形が終わり次第、各試験試料を作製し、口腔内細菌培養のための補助治具も作製中であるため、それらが出来上がれば、試験試料についてはすべての材料を取り扱いがある技工所に外注製作依頼する予定である。技工所には義歯製作時における樹脂材料、金属材料それぞれの粘膜面側の処理方法について数軒のヒアリングを行い、通報の処理方法を決定する予定。特に金属材料については特別な薬剤が必要なものもあるのでそれらについては通法通りの処理まで行って頂くかは検討していく予定。樹脂材料についてはできるだけ、填入までを依頼し、後の処理については我々で行う予定。 ②エアロラップ装置の使用メディアについてはメーカーの担当者と十分打ち合わせを行いながら進め、場合によっては先方に訪問し、研究の方とも綿密に打ち合わせを行う予定。 ③今回の研磨メディアについては摩耗量が非常に少ない状態で光沢研磨ができるのが大きな特徴であるため、表面状態の評価については表面粗さのみでなく、表面滑沢性についても確認しておく必要があると思われる。そのためにその状態を確認するための方法、機材を検討するために情報収集を行う。 ④本目的達成には新たな研磨方法の確立と新たなメディアの開発が必要となる。しかし、従来義歯への粘膜面の滑沢研磨は適合が悪化するために有効な滑沢研磨はできておらず、プラーク付着の抑制はできなかった。本研究によって国内において最も多く使用されているアクリル樹脂やCo-Cr合金の研磨において適合性を低下させず、滑沢に研磨が出来る新規な研磨メディアの開発を行う事ができれば、本申請の研究は学術的にも国内外ではされておらず、他に先駆けた義歯粘膜面におけるプラーク付着の抑制が可能となり、呼吸器感染症の抑制にも貢献できる。
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Causes of Carryover |
未消化分の乖離要因としては①旅費:旅費交通費がコロナの影響により、国内の工業界の展示会、海外の大きなデンタルショー、工業界の大規模展示会への参加を分担研究者と予定していましたがすべて中止となったことが大きな要因である。コロナの状況次第であるが21年度後半に開催予定である海外のデンタルショーおよび、工業界の大規模展示会に分担研究者と参加予定である消化する見込みである。②物品費:エアロラップ本体一式の購入をしただけで、試験試料の作製については試験使用材料をすべて保有している歯科技工所に外注にて依頼する予定であったが試験試料原型の作製に時間が掛り、まだ外注依頼ができていないことが上げられる。しかし、こちらは近々、試験試料原型が出来上がり次第、作製を依頼するため消化する予定。③物品費:口腔内細菌等の試験を行う上においての試薬、器材等の消耗品については発注済みであり、一部の材料を除けば納品済みであるため、納品済みの費用についてはまだ上記に計上していない。④旅費:他に今後発生する費用としてはこれまでに同様の研究をしている大学へのヒアリング、メディア製作研究者等へのヒアリング等に必要な交通費等が上げられる。
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