2021 Fiscal Year Research-status Report
亜鉛徐放性チタンと歯髄幹細胞の骨形成メカニズムの解明と顎骨再建への応用
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20K10089
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
遊佐 和之 山形大学, 医学部, 助教 (80636960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 修 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (00230540)
福田 雅幸 秋田大学, 医学部附属病院, 准教授 (20272049)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 顎骨再建 / 骨芽細胞 / 幹細胞 / 再生医学 / 分子生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
自家骨移植による顎骨再建は、採取できる骨量、移植後の骨吸収、ドナーサイトへの侵襲など様々な問題を抱えており、再生医療学的アプロー チによる低侵襲な顎骨再建法の開発への期待が高まっている。申請者はこれまで生体内微量元素の1つである亜鉛の骨芽細胞分化、骨形成促進 作用に着目し、研究を行ってきた。本研究では申請者らが開発した亜鉛修飾処理を施した亜鉛徐放性チタンメッシュシートおよび歯髄幹細胞を 用いた顎骨再建法の構築を目的としてin vitroにおける骨芽細胞分化促進作用および分化メカニズムの解析とin vivoにおける骨欠損部での骨形成能に関して基礎的研究を行う。 本年度は亜鉛徐放性チタンディスクのチタン表面から徐放される亜鉛イオンの動態に関して検討を行った。PBS中に浸漬したチタンディスクから徐放される亜鉛イオン濃度をICP-AESで計測を行った。チタンディスクの径は10mmで亜鉛イオンの濃度は積算で7日目頃にプラトーに達することが確認された。 続いて亜鉛徐放性チタンディスク上で歯髄幹細胞を培養し、細胞増殖および細胞毒性の評価を行った。未処理のチタンディスク上およびシャーレ上での培養と比較して細胞増殖に著明な差異は確認されず、細胞毒性も明らかではなかった。さらに、培養日数を14日、21日、28日に設定しアリザリンレッドS染色を行った所、未処理のチタンディスク、シャーレ上での培養細胞と比較し、基質石灰化が増強していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
亜鉛徐放性チタンディスクの亜鉛イオン徐放性が確認され、細胞増殖、細胞毒性を評価した結果、細胞レベルにおける安全性が確認されるとともに、基質石灰化の亢進も確認された。以上の結果より次年度以降、in vitroにおけるwntシグナル等の各種シグナルに関する実験およびin vivoにおける検討へ移行できる段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
未処理のチタンディスク、亜鉛徐放性チタンディスク、シャーレ上で歯髄幹細胞の培養を進め、wntシグナル関連のmRNA発現およびタンパク発現をreal-time PCR、ウエスタンブロットを行い評価する。また、基質石灰化に関しても培養日数を変更し詳細に検討を行う。上記の結果を細胞レベルにおける骨形成の指標として評価しチタンディスク作製のための処理時間、至適亜鉛濃度等を設定し、in vivoでの実験へ移行する予定となっている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大により一部の試薬、消耗品が発注後も納入されない状態にあった。 また、研究室で所有していたフリーザーが故障し、今年度の予算でフリーザーを購入した。故障からフリーザーの納入までの期間、一部の試薬、サンプルの保存が行えず、予定していた試薬購入を控えたため、次年度使用額が生じた。
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