2020 Fiscal Year Research-status Report
エナメル上皮腫の生物学的性格制御による腫瘍実質ー間質相互作用破綻の誘導
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20K10094
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤井 昌江 岡山大学, 歯学部, 博士研究員 (30362685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長塚 仁 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70237535)
中野 敬介 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10325095)
高畠 清文 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (70736537)
河合 穂高 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10803687)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エナメル上皮腫 / 腫瘍実質 / 腫瘍間質 / 腫瘍実質間質相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
エナメル上皮腫は若年層に発症し、顎骨切除術を行うと著しくQOLが低下する。現在では顎骨保存外科的療法(開窓術)が適応されることが多い。しかし、開窓術においても、複数回の手術が必要であり、再発率も高いため、全く新しい視点からアプローチする新規治療法の確立が望まれている。 申請者らはこれまでに歯原性腫瘍の腫瘍実質と腫瘍間質の相互作用に着目した研究を行ってきた。その結果、腫瘍間質には未分化で骨芽細胞に分化しうる細胞が存在することを発見している。この未分化な細胞に対して腫瘍実質が産生する因子が分化抑制を行い、細胞浸潤や骨吸収に影響を与える研究成果を得ている。さらに、開窓術の科学的根拠の検索のために、エナメル上皮腫における開窓術前後の組織学的変化を検討してきた。その結果、開窓術によりエナメル上皮腫が正常口腔粘膜上皮と連続することで、腫瘍実質が抑制的に制御されるとの研究成果を得ている。 そこで本申請課題では、正常粘膜上皮との連続による腫瘍実質の生物学的性格の変化を利用し、腫瘍実質と腫瘍間質の相互作用機構を破綻させ、外科的手法を用いないエナメル上皮腫の新規治療法の開発に向けた基礎的研究を行う。 2020年度は、本研究に必要不可欠であるエナメル上皮腫間質細胞の樹立を行なった。具体的には、エナメル上皮腫との病理診断に基づき外科的手術が行われた手術検体からエナメル上皮腫間質細胞の樹立を行なった。エナメル上皮腫間質細胞は紡錘形の形態を呈しており、高い増殖活性を有していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初から計画しているエナメル上皮腫間質細胞の樹立に成功しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、2021年度は当初の研究計画通りに、エナメル上皮腫腫瘍細胞(AM-1)と2020年度に樹立したエナメル上皮腫間質細胞との共培養実験を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度に計画していたエナメル上皮腫間質細胞樹立がおおむね順調に進んでいるため、細胞培養に関する培地や成長因子などの消耗品の使用量が少なかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、2021年度に計画しているマイクロアレイ やLC/MSの解析に必要な消耗品として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)