2021 Fiscal Year Research-status Report
亜鉛シグナルと顎骨炎症との関わり:亜鉛シグナルの制御に基づく新しい治療戦略の構築
Project/Area Number |
20K10101
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 泰生 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (40244941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 太朗 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (00317570)
深田 俊幸 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (70373363)
衣斐 美歩 岩手医科大学, 歯学部, 特任講師 (30609665)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 亜鉛シグナル / 亜鉛トランスポーター / Zip10 / コンディショナルマウス / 抜歯創 / 骨創治癒不全 / 形態計測 / 血管形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
[抜歯創治癒におけるZip10トランスポーターの役割の検討] Zip10flox/floxマウスとZip10-CreERT2マウスの交配によりZip10flox/+・Zip10-CreERT2マウス(Zip10flox・Zip10-Creマウス)を作製した。このマウスはタモキシフェン投与により,Zip10発現細胞においてZip10の発現がノックアウトされる。6週齢のZip10flox・Zip10-Creマウスの腹腔内にcorn oilに溶解したtamoxifen(TAM)を投与し(1日1回,計3回),対象にはTAMの代わりにcorn oilを投与した(投与4匹,対象2匹)。初回投与から5日目に左上顎第1臼歯を抜去し,抜歯後5日目に安楽死させ上顎骨を摘出した。 次に,同週齢同マウスの左上顎臼歯口蓋側に,dimethyl sulfoxide(DMSO)に溶解した5mM・4-hydroxytamoxifen(4OH-TAM)を1日おきに3回(1回30μl)局所投与し,対象にはDMSOを投与した(投与6匹,対象2匹)。初回投与から5日目に左上顎第1臼歯を抜去し,抜歯後3日目および5日目に安楽死させ上顎骨を摘出した。TAMの腹腔内投与群および4OH-TAMの口蓋部局所投与群ともに,振動刃ミクロトーム(VT1200S)による厚切り切片を作製,Modified ScaleS法による組織透明化後に免疫染色(CD31, NG2)し,抜歯窩内の新生血管の三次元構築を観察した。また,パラフィン切片を作製し,抜歯創全体を含むデジタル画像から,骨形成率,創内血管内皮細胞(ないし周皮細胞)密度を求め亜鉛トランスポーター欠損による影響からその働きを検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Zip10flox・Zip10-Creマウスの作製が完了し,実験群が必要数確保できる状況になっている。タモキシフェン投与について,その用量,投与方法(全身,局所),投与間隔についてさらに検討の余地がある。動物実験とともに初代培養系での実験も進行中であり最終年度内の完了に向け進捗を早めて行く。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の研究実施計画 ①[骨髄巨核球の亜鉛ホメオスタシスにおけるZip10トランスポーターの役割の検証] 抜歯創治癒の進行段階の開始から役割を担う重要なケミカルメディエーターの多くは血小板から産生される。血小板およびその前駆体の骨髄巨核球の亜鉛トランスポーターの,骨創治癒における役割を検証するために,in vitroにてZip10トランスポーターの発現をノックアウトしその欠損による影響からその機能を検証する。 Zip10flox・Zip10-Creマウスを安楽死後,大腿骨および脛骨から骨髄細胞を採取する。細胞を懸濁,濾過後,Stem cell factor(SCF),およびThrombopoetin(TPO)を添加したStemPro-34培地にて培養する。BSA/PBS濃度勾配により巨核球を分画し,異なる濃度の4OH-TAM(0, 0.5nM, 500nM, 1000nM, 2000nM)存在下で培養し,1,3,8,24,72時間後の経時変化を観察する。さらに各時点での増殖ならびに分化マーカーの発現をReal time RT-PCR(CFX Connect)にて定量解析し,また亜鉛シグナル応答分子の全体像の解明のためにNGS解析を行う。 ②[多重蛍光免疫染色,形態計測] 前年度に引き続き組織切片,および厚切り切片から作製した透明化標本について,血管内皮細胞,周皮細胞,骨髄由来間葉系幹細胞マーカーの発現を多重蛍光免疫染色し,形態計測により血管形成ならびに骨形成について各群間で比較検討する。
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Causes of Carryover |
骨創治癒に重要な骨髄巨核球/血小板の分離・培養方法には確立された多くの方法があり,当初は低予算でいくつかの方法を予備的に試行しており予定していた使用額を下回った。今般,培養条件が定まったので次年度に繰り越し,翌年度分として請求した金額と合わせて実験を継続する予定である。
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Research Products
(4 results)