2022 Fiscal Year Annual Research Report
PDXモデルを用いたCD44v陽性口腔がん幹細胞の特性評価と新規薬剤治療の確立
Project/Area Number |
20K10103
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉川 桃子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (50570967)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
莇生田 整治 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80296706)
小澤 宏之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (30327621)
佐谷 秀行 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 名誉教授 (80264282)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 口腔がん / PDXマウスモデル / CD44v |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔がんの薬物療法において、悪性度や薬剤感受性に基づく選択基準はなく、これらを補完できる分子マーカーや薬剤の開発が望まれている。申請者らはこれまでに、癌の悪性度及び治療抵抗性を規定する重要な現象である上皮間葉転換および幹細胞様性質に着目し、これらの現象に関わるCD44vの口腔扁平上皮癌における機能的役割の解析を進めてきた。口腔扁平上皮癌において、CD44v高発現の未分化な腫瘍では、従来の抗癌剤感受性が低く、予後が悪いことを報告した。またCD44v高発現腫瘍細胞に対して、スルファサラジン投与が効果的であることを見出してきた。これらの研究結果を基にスルファサラジンを用いた臨床試験を開始し、無増悪生存期間延長を示唆する結果が得られている。さらに近年、薬剤スクリーニングにより、ある抗精神薬がCD44v 高発現腫瘍細胞を特異的に標的とする薬剤であることも見出している。これらの結果から、口腔扁平上皮癌において、腫瘍中のCD44vの発現状態により悪性度や従来の抗癌剤への抵抗性を推測し、標準治療を補完できる新規治療の確立を目指している。 本研究では、当科で樹立した口腔扁平上皮癌のPDXマウスモデルを用いて、CD44v陽性癌幹細胞を特異的に標的とする薬剤と標準治療への併用による治療実験を行った。CD44v特異的阻害剤の使用により、腫瘍縮小傾向を認めた。治療後の腫瘍についてRNA-seqによる解析を行ったところ、特異的阻害剤使用後の腫瘍においてIFNシグナルが低下していることがわかった。現在、IFNシグナルと腫瘍縮小効果の関連についてさらなる解析を進めているところである。
|
Research Products
(1 results)