2022 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム・エピゲノム解析による口唇口蓋裂表現型のゆらぎの解明
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20K10106
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 聡 愛知学院大学, 歯学部, 歯学部研究員 (30468996)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 口唇口蓋裂 / メチル化解析 / 遺伝子変異 / 全ゲノムシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究成果としては唾液を使用した最新機器を用いたDNA解析を行なっていることである。患者が複数名いる家族の4人のDNAを用いて解析を行っている。解析に用いた遺伝資料はオーラジーン唾液キットを用いて行った。質の良いDNAを得るために複数回にわたり採取をおこなった。採取を複数回行うということで患者家族に負担をかけ、また患者の受診状態に合わせたので予想以上に時間がかかった。また解析に使用した機器は最高品度のもので現在国内で使用できるもっとも高性能なオックスフォードナノポアテクノロジー社のプロメチオンを使用した。プロメチオンにはFLO-PRO114M 4Flowcellsのキットを使用した。これによりDNA多型のみならず構造変化、メチレーションの変化いついて全ゲノム解析を行っている。これにより口唇裂の裂型の違いは遺伝情報の構造的もしくは機能的変化によって「ゆらぎ」として発現しているのではないかと考えている。まず、DNAのクオリティについて長崎大学原爆後遺症害研究所にてチェックを行い、回収し、高度に精製したDNAは33-70μgであった。プロメチオンを用いたRUNでは一次クオリティチェック後では母1TB、リード平均長は13kb、父1.17TB、リード平均長は9.53kb、発端者1.21TB、リード平均長は13.32kb、姉妹1.14TB、リード平均長は10.74kbであった。現在は遺伝情報の2次スクリーニングとMappingを行なっている。これにより唾液由来のDNAにおいても超高性能でハイスループットなナノポア社プロメチオンの使用に耐えうるものであり、これにより採血をしなくても家族の同意さえ得ることが可能であるならばさらなるハイスループットなオミックス解析が可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由は機器をイギリスから昨年より輸入計画していたが、業者から今年に入り途中で断りがあったこと、再度、業者選定し登録から輸入まで予想以上に時間がかかったこと。現在は購入し共同研究施設である長崎大学にて解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA資料は既にオックッスフォードNANOポアテクノロジー社のプロメチオンにて反応、データ収集済みであり、現在は高度な各データ解析中である。その後はオミックス解析を行う予定である。データは全ゲノムデータであり、長鎖DNAの塩基配列解析から欠失などの構造解析、メチレーション解析をおこなうので一人当たりのデータが数テラバイトになると予想される。順次、長崎大学の原爆後遺障害研究所にて解析を行っている。
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Causes of Carryover |
長崎大学にて遺伝子の解析中であるが、解析は遺伝子のメチレーションの異常が見られた場合、その家族全員や家族以外の同じ裂型を持つ患者に対して解析するので支出の予定がある。また、特異的遺伝子多型が見られた場合それについても支出する予定である。
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[Presentation] 口唇、口蓋裂患者に対する疫学的研究第70報:東海地区における2020年の本症出生調査報告2022
Author(s)
佐久間千里, 井村英人, 早川統子, 吉田和加, 藤原久美子, 鈴木 聡, 古川博雄, 新美照幸,南 克浩, 吉田磨弥, 森明弘, 伊東雅哲, 秋山泰範, 秋山友樹, 夏目長奈, 夏目長門
Organizer
第46回日本口蓋裂学会総会・学術集会