2021 Fiscal Year Research-status Report
幹細胞・マクロファージ動態制御を行う幹細胞培養上清由来液性因子による骨質改善法
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20K10113
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
片桐 渉 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10437030)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨再生 / 幹細胞 / 培養液 / 培養上清 / サイトカイン / 液性因子 / マクロファージ / 抗炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、MSC-CMによる早期の骨形成における単球遊走因子およびマクロファージ極性転換関連因子の影響を中心に検討した。 MSC-CMに含まれる単球走化性因子およびマクロファージ極性転換関連因子の濃度をELISA法にて測定した。MSC-CMより抗体を用いこれら因子を除去、depMSC-CMを作成した。ラット頭蓋骨欠損モデルを用い、アテロコラーゲンスポンジを足場としてMSC-CM、depMSC-CMを移植し, 72時間後及び1週後の移植部をマイクロCTあるいは組織学的・免疫組織化学的に検討した。 その結果、ELISA法ではMSC-CMにはMCP-1などの単球走化性因子やIL-6などのマクロファージ極性転換関連因子が含まれていた。またマイクロCTではMSC-CM群においてdepMSC-CM群と比較して有意に骨形成が促進された。また、組織学的・免疫組織化学的評価ではMSC-CM群での抗炎症性/炎症性マクロファージの相対的な比率(M2/M1比)が大きい一方で、depMSC-CM群ではM2/M1比が小さいことが確認された。 以上より、MSC-CMに含まれる単球走化性因子ならびにマクロファージ極性転換関連因子の作用により単球が骨欠損部へ早期に遊走、 M2マクロファージへ極性転換を促進することで骨形成が促進したことが示唆された。 これまで報告してきたMSC-CMによる早期の骨形成のためには単球走化性因子ならびにマクロファージ極性転換関連因子などによる抗炎症環境の構築が重要な役割を担うことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MSC-CMのマクロファージ極性転換や早期骨形成におけるMSC-CMの抗炎症環境構築作用について動物実験を含め予想された結果を得ることができた。 一方で造血幹細胞(HSC)との共培養実験の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
造血幹細胞(HSC)の培養実験を継続する。次にMSCとの共培養実験にてMSC/HSC由来の培養上清を作成、この培養上清の特性をELISAやサイトカインアレイなどを用いて検討するとともに、引き続き細胞培養における遺伝子発現や移植実験における免疫染色などで共培養の効果、MSCのステムネス性の検討を行う。 また、移植実験においてはマイクロCTを用い、骨質、骨密度などの検討をし、再生骨の評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
昨今の感染症のため、実験器具の調達および物流に影響があり実験器具等の調達に遅れが生じ、年度末の使用予定が延期となったものがあった。消耗品であり、次年度早期に購入をしたい。
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Research Products
(2 results)