2022 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞・マクロファージ動態制御を行う幹細胞培養上清由来液性因子による骨質改善法
Project/Area Number |
20K10113
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
片桐 渉 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10437030)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | マクロファージ / 骨再生 / 培養液 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、組織再生において「炎症環境の抗炎症、血管・組織再生環境への転換」が血管・組織再生に先行することも明らかになってきた。 そこで本研究ではマクロファージの極性転換に着目し「MSC-CMが炎症環境を整備し、抗炎症型であるM2型マクロファージを誘導し早期骨形成を可能にする」との仮想を立て研究を実施した。これまでの先行研究でMSC-CMに多く含まれることが明らかであった単球走化性因子MCP-1を用い上記仮説の検証を行った。 in vitroにおいてラット大腿骨骨髄より単離したマクロファージをMSC-CMあるいはMCP-1を除去したdepMSC-CM存在下で培養したところ、MSC-CM群ではM1型マクロファージマーカーであるiNOS、CD80発現の減弱およびM2型マクロファージマーカーであるCD206、Arg-1発現が増強しMSC-CMはM2型マクロファージを誘導することが示された。 次に、ヒトMSCをMSC-CMあるいはdepMSC-CM存在下に培養し骨形成関連遺伝子発現を比較した。結果、オステオポンチン、アルカリホスファターゼ等の発現がMSC-CM群に比べdepMSC-CM群で有意に低下した。in vivoにおいてもラット頭蓋骨骨欠損モデルへの移植実験を行ったところ、移植後1、2週でみられたMSC-CM群における骨形成がdepMSC-CM群では有意に抑制された。さらに移植後72時間ではいずれの群も骨形成は明らかでなかったが、MSC-CM群でM2型マクロファージが優位、depMSC-CM群ではM1型マクロファージが優位となった。 以上よりMSC-CMに含有されるMCP-1がマクロファージ極性転換およびそれに続く骨形成に重要な役割を担っていることが示唆された。
|