2020 Fiscal Year Research-status Report
慢性咀嚼筋痛発症過程における中枢神経系の機能的変化の機序の解明
Project/Area Number |
20K10116
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 充広 広島大学, 病院(歯), 講師 (40364153)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 慢性咀嚼筋痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、これまで予備実験で行ってきていたカラゲナン誘発性ラット慢性咀嚼筋痛モデルの標本数を増やし、急性痛期から慢性痛期にかけて、「疼痛行動」を評価することで、「動物モデルの確立」を目指した。 雄性 Sprauge-Dawleyラット右側咬筋部に3%カラゲナンを注入し、von Frey test、およびAceton testによる疼痛行動の経時的変化を観察した。この結果、カラゲナン投与後、約24時間まではvon Frey testの閾値が低下し、投与後4週間まで閾値の低下が継続することが確認された。このことから、この動物モデルでは、カラゲナン投与後、約24時間まで急性痛が発症し、投与後1週間で慢性痛期に移行し、投与後2週間から4週間まで慢性痛が続くことが予想された。次に、カラゲナン咬筋注入による慢性痛の発症過程における、マイクログリアの関与を探索するため、マイクログリア活性抑制剤投与(ミノサイクリン)をカラゲナンの咬筋内投与3日前から毎日行った群と、マイクログリア活性抑制剤投与をカラゲナンの咬筋内投与2週間後から毎日行った群で疼痛行動を比較した。前者の群ではカラゲナンの投与後約24時間までvon Frey testの閾値が低下したが、投与後約1週間で閾値の有意な低下はみられなくなった。後者の群ではカラゲナン投与後、約24時間まではvon Frey testの閾値が低下し、投与後4週間まで閾値の低下が継続することが確認された。また、アストロサイト活性化抑制剤(DL-フルオロクエン酸 バリウム塩)による慢性痛の発症過程におけるアストロサイトの関与の探索も行っているが、薬剤投与方法が確立せず安定した結果が得られていない。 これまでの研究から、「動物モデルの確立」はほぼできたものと考えている。また、慢性咀嚼筋痛の発症には、急性痛期でのマイクログリアの活性が関与を予測している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により、研究に必要な器具や薬品(マスク、アルコール、マイクロピペットのチップ)が手に入らない時期があり、研究を中断せざる負えない時期があった。また、緊急事態宣言の発令中は、動物実験のための講習会等の開催も制限を受けたため、研究の開始時期が遅くなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、カラゲナン誘発性ラット慢性咀嚼筋痛モデルにアストロサイト活性化抑制剤(DL-フルオロクエン酸 バリウム塩)の投与方法を確立し、惹起されるラットの疼痛行動および咀嚼筋活動に起こる変化を比較検討しする。また、筋電図測定による動物モデルの咀嚼筋活動の観察を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、研究に必要な器具や薬品(マスク、アルコール、マイクロピペットのチップ)が手に入らない時期があり、研究を中断せざる負えない時期があった。また、参加を予定していた学会が中止もしくは、web開催となったため、旅費の使用がなかった。 今年度は、アストロサイト活性化抑制剤や実験動物への薬剤投与に必要な器具の購入をする予定である。
|
Research Products
(1 results)