2022 Fiscal Year Annual Research Report
口腔がんにおけるRBPとmRNP granulesによるmRNA制御機構の解明
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20K10133
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
黒嶋 雄志 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00610669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東野 史裕 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (50301891)
北村 哲也 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (00451451)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | mRNA / mRNP granules / 口腔がん / 口腔扁平上皮癌 / Sam68 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、口腔扁平上皮癌におけるRNA結合タンパク質(RBP)の役割を明らかにすることを目的のひとつとした。 舌扁平上皮癌77例の手術標本を用いて、RBPのひとつであるSam68の免疫組織化学染色を行い、臨床病理学的因子との関連を検討した結果、T分類、脈管侵襲、頸部リンパ節転移に有意に関連していることが明らかとなった。特に、Sam68の高発現は、頸部リンパ節転移の独立した関連因子であることが示された。Sam68をノックダウンしたOSCC細胞株における遺伝子発現状況の変化をmRNA sequencing法により解析し、150の関連遺伝子を同定した。Gene ontology解析では、発現変動遺伝子の多くが上皮間葉移行(EMT)に関与する生物学的プロセスにし集中していることがわかった。EMTは癌が上皮系の特性を失って間葉系としての特性(運動能や浸潤能)を獲得するプロセスである。実際、Sam68をノックダウンしたOSCC細胞では、運動能が有意に低下した。また、EMTと運動能に関与するVimentinが、Sam68により特異的に制御されていることを明らかにした。さらに舌扁平上皮癌77例の手術標本を用いてVimentinの免疫組織化学染色を行ったところ、VimentinとSam68の発現様相に関連性が示唆された。 以上より、RBPのひとつであるSam68は、舌扁平上皮癌におけるVimentinの制御を介してEMTを制御し、ひいては頸部リンパ節転移に関連していることを初めて見出した。以上の結果を、論文として発表した。 もう一つの目的である、口腔がんにおけるRNP granulesの機能解析では、有意な結果を得ることができなかった。
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Research Products
(1 results)