2023 Fiscal Year Annual Research Report
Drug-Selection Standard for Multimodal Analgesia Using Mechanistic Membrane Interactivity Specific to Each Applicable Drug
Project/Area Number |
20K10152
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
土屋 博紀 朝日大学, その他部局等, 名誉教授 (30131113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝上 真樹 社会医療法人厚生会中部国際医療センター(研究支援センター), がん研究部, 研究員 (10231614)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マルチモーダル鎮痛 / 適用薬 / 機序的膜相互作用 / 非ステロイド系抗炎症薬 / NSAIDs / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
補助事業期間を延長した令和5年度は、研究の遅れを取り戻すとともに4年間の研究成果を総括するために、 (1)マルチモーダル鎮痛適用薬に関し、イブプロフェン、ジクロフェナク、セレコキシブ等のNSAIDsの生体膜相互作用を解析した。神経細胞モデル膜(N膜)あるいは胃腸保護粘膜モデル膜(GI膜)に、生理的pH(pH 7.4)あるいは管腔内pH(胃:pH 2.5、十二指腸:pH 4.0)で、濃度を変えたNSAIDsを作用させた。薬物動態から想定される濃度(0.5 μM~)のNSAIDsは、pH 7.4でN膜の膜流動性を低下させ、鎮痛作用と相関する薬物構造に特異的な膜活性を示した。このようなNSAIDsは、神経細胞膜の物理化学的性質を修飾して侵害受容性疼痛の神経伝達を抑制するとともに、膜タンパクの脂質環境を変えてCOX活性にも影響し、鎮痛効果を発現すると考えられる。一方、投与後に想定される胃腸内濃度(~1.0 mM)のNSAIDsは、GI膜の膜流動性を高め、pH 2.5における膜活性はpH 4.0におけるより高かった。高濃度のNSAIDsは、酸性条件下で、リン脂質から構成される胃腸保護粘膜を流動化し、酸の膜透過性を亢進する結果、胃腸障害を惹起すると考えられる。 (2)COVID-19に関し、「SARS-CoV-2供給源としての口腔」、「口腔症状の後遺症」、「味覚障害と口腔乾燥症の治療」、「歯科治療によるCOVID-19拡大の抑制要因」を総説にまとめた。 令和2年度~令和5年度の研究期間全体を通じ、マルチモーダル鎮痛の薬物選択基準としての活用を期待し、令和3年度はアセトアミノフェン、令和4年度はカプサイシン、令和5年度はNSAIDs、それぞれの機序的膜相互作用を解明・比較した。COVID-19の世界的蔓延の影響を受けた令和2年度と令和3年度は、その終息後に研究を本格的に展開するための予備的基礎実験に終始した。しかし、その間、本研究コンセプトがCOVID-19治療にも応用できる可能性に着目し、COVID-19の総説研究を発展的に実施した。
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