2022 Fiscal Year Research-status Report
腱・靭帯細胞の骨化制御の解明とアデノシン経路に着目した治療法開発
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20K10154
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐久間 朋美 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 医員 (70633733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二藤 彰 鶴見大学, 歯学部, 教授 (00240747)
儀武 啓幸 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (40376752)
江面 陽一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (50333456)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 異所性骨化 / 腱・靭帯 / 顎関節症 / 酸化ストレス / OPLL / ATP |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】私達は「酸化ストレスに誘導される腱・靭帯骨化の根底に、細胞外ATPに由来するアデノシンの関与がある」と仮説を立てて、培養腱細胞における骨化結節形成系でこれを検証することを目的としてきた。 【研究実施計画】培養腱細胞の実験系を用いた酸化ストレスが、骨芽細胞の分化形質を短時間で発現誘導することを見出し、短時間作動型の骨化誘導シグナルを想定し検証した。特に、短時間で誘導されうる細胞外ATPは、想定されうるいわゆる「老化関連因子」である加齢、外傷などを介した酸化ストレスの影響が示唆される。実験に利用した腱細胞は、SV40 T抗原を発現するトランスジェニックマウスのアキレス腱から樹立した「前駆腱細胞株:TT-D6」と、安定した初代培養を行えるマウス足底部のFDL腱細胞である。実験により、過酸化水素、アデノシン、およびアデノシントランスポーター阻害薬としてジピリダモール、アデノシン受容体阻害薬としてアロキサジンを加えてその影響を検討した。腱細胞の培養骨化誘導系における特定濃度の過酸化水素は骨化を増強した。その効果を再現したコンディションメディウムによる骨化は著しい細胞死を伴わず骨化傾向を示した。また、細胞外ATPの代謝産物アデノシンの関与は、アデノシン受容体阻害薬およびアデノシントランスポーター阻害薬による検討から支持された。 よって、現段階において腱細胞骨化は過酸化水素で増強され、その効果の少なくとも一部は 細胞外アデノシンによると考えられるという結論を得るまでに至っている。 実験動物を用いた解析については難渋しているが、臨床研究において咬筋などの咀嚼筋腱腱膜の検体を得て、解析する機会を得ており遺伝子解析などの角度から過去のデータとの整合性を図っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
最近になって再開の様相を呈してきたものの、研究と臨床のエフォートバランスの調整に難渋しているのが現状が続いている。結果的に研究は著しく遅延している。実験環境の場の移動があり、これまでのような環境での研究は困難になった。野生型マウスも含めて実験動物を用いた解析は全面的に中止している。それにより、実験方法を変更せざる絵を得なくなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、臨床の場において「咀嚼筋腱腱膜過形成症」における病態解析へ共同参加の機会を得た。この疾患は側頭筋の腱や咬筋の腱膜など が異常に肥厚し開口制限を呈する疾患で、2005年口腔外科学会で疾患として認められた。咬筋の腱膜過形成が強い場合は下顎角も過形成になりSquare mandible 顔貌を呈することがあげられる。患者・疾患対象患者・家族より、血液・手術に伴い採取された組織検体(咀嚼筋腱組織)採取し解析を行うこととした。研究全 体としては腱組織のプロテオーム解析によるタンパク質の同定、腱組織の微細構造の解析、腱組織のDNAマイクロアレイによる解析、また本疾患の診断に重要な マーカーになり得るかどうか調べるために、血液検体を用いて、病態に関連するタンパク質発現のELISA・Western Blot法による発現検討を行う。これらの結果 を、後縦靭帯骨化症(OPLL)のような骨化症例の既知のデータと照合することにより、筋・腱の異所性骨化や異所性過形成の実態解析につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
学会への出席に際してほぼウェブでの参加となり、旅費の使用は全くなかった。 また、予定していた解析の依頼が出来なかったため、そのためにプールされていた金額の使用がなかった。
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