2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌におけるR2TPのターゲット解析と治療標的としての可能性の検討
Project/Area Number |
20K10155
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
柿原 嘉人 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40379938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 万騎男 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30273692)
荒井 雅吉 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (80311231)
船山 昭典 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80529686)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / R2TP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で対象とする分子シャペロンR2TPは、Pontin, Reptin, PIH1D1, RPAP3の4つのタンパク質から構成される。このシャペロンは、巨大なタンパク質複合体もしくはタンパク質-RNA複合体形成を手助けする活性がある事が見出されている。既知の標的として 、mTORC1, RNA ポリメラーゼ II, snoRNP(核小体低分子リボ核酸タンパク質)などが報告されており、それらは細胞の生存維持に必須の複合体である。本研究では、R2TPが口腔扁平上皮癌の悪性進展に関与しているのか否か、また関与しているとすればどのような作用機序によるのかについて解明をめざす。まず、口腔扁平癌組織と正常上皮組織におけるR2TPの発現と局在を免疫組織化学染色法を用いて調べた。両組織においてKi-67陽性の細胞でR2TP各因子の強発現が観察されたことから、R2TPの発現は細胞の増殖活性と相関する可能性が示唆された。実際にR2TPが口腔扁平上皮癌由来細胞において、R2TPの複合体形成が免疫沈降法によって確認された。各遺伝子をノックダウンすると、RPAP3以外の全てにおいて細胞増殖と遊走の抑制が見られたことから、RPAP3を除くR2P (Pontin, Reptin, PIH1D1)が機能活性を示す主因子であることが推察された。またp53の機能獲得型変異(mutp53-R248Q)を持つHSC-4細胞において、Pontinとmutp53-R248Qの相互作用が確認された。さらにPontinのノックダウンによってmutp53-R248Qのリン酸化レベルが低下したことから、Pontinは、R2TPとは独立した機能として、mutp53-R248Qの活性化に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔扁平上皮癌におけるR2TPの各因子の発現と複合体としての存在を確認することができた。また、R2TPは口腔扁平上皮癌の増殖と遊走に関与していることを明らかにした。さらに、R2TPの結合因子を網羅的に探索したところ、いくつかの新規標的候補因子が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
R2TPと新規標的候補因子の相互作用を免疫沈降法によって確認した後、R2TPのそれらの因子に対する生理学的意義について解明すると共に、口腔扁平上皮癌の悪性進展に対する作用機序について解析を進める。
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Causes of Carryover |
年度末に発注していた消耗品の到着が遅れたため、次年度使用額が生じたが、次年度に納品されるため、予定通り使用計画を遂行する。
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Research Products
(2 results)