2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of mechanical effect of Hotz plate on maxillary growth in cleft children using finite element method
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20K10160
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
飯田 征二 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40283791)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口蓋裂 / 口唇裂 / 哺乳床 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:口唇裂口蓋裂患者では出生後より哺乳改善を図る上で、上顎骨に見られる裂の保隙を行う哺乳床は、きわめて効果的であり、その保隙によって、安静時であっても裂の陥入する舌は下方に圧排されることにより、正常な舌位に維持される。しかしながら、乳児では歯がなく歯槽突起の発達も少ないため、下顎の位置は、成人に見られるような上下の歯の接触により決定されるものではなく、相対的に大きな舌と口蓋との接触で上下的な位置は維持され、決定されることになる側面がある。 本研究では、この相対的に大きい状態であり口蓋を圧迫する舌の力と人工的に口蓋形態を形成できる口蓋裂用哺乳床であるH Hotz床の形態と口蓋に作用する応力の相違について検討したものである。 昨年度導入した有限要素解析システム(ANSYS)により基準となる片側性完全口唇口蓋裂モデルで作成した各種Hotz床モデルを用いてその形態的構成材料による顎発育への影響をシミュレーションを行なっている。現在、臨床で用いられている加熱圧縮成形による哺乳床が矯正歯科で、従来型の口蓋粘膜側を軟性レジン、舌接触面を硬質レジンで構成されたHotz床を口腔外科で作成使用しているがそれらの作用の相違について検討し、軟性レジンと構成レジンによる圧迫圧は硬質レジンが直接接触するプレートに比較して弱い傾向が示されており、直接的な効果は少なくなる傾向があった。これは、臨床での粘膜面との吸着という面で優れている軟性レジンでのアドバンテージと総合的に検討すべき課題であると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有限要素解析ソフトの導入が行われ本格的なセットアップには、新たな研究分野の導入のため、助言を受けながら進行して行っている。床の口腔側(舌接触面)形態に関しては、口蓋からの厚みについて臨床において行なっている歯槽突起の形態よりさらに4mm程度の高さにレジン床を増成した上で口蓋面の基準を作成した群と、加熱圧迫成形で作成しているような歯槽部を盛り上げないで口蓋面の基準をもうけた群で比較を行なってきている、これにより舌の位置が前者においてはより下制されることから、より強い圧迫圧が形成されやすいモデルとして解析を行なっている。軟性レジンの粘膜面の裏装については前者をモデルとして実施を行なっており、軟性レジンでの粘膜面への圧迫圧は減じられる傾向があった。
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Strategy for Future Research Activity |
Hotz床と同様に、臨床では口腔外にアンカーを設けてプレートを前方に持続的に応力を作用させて顎発育誘導を行うPNAMが使用されており、これは、舌の受動的な作用による顎発育誘導床であるHotz床とは異なる。そのため今後、このような能動的な顎誘導のメカニズムを有限要素解析で実施を行い、それぞれの特徴を明らかとし、臨床での舌による受動的、前方牽引による能動的な作用による顎発育誘導の可能性を検討することを計画している。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症の蔓延により学会参加の現地への移動などでの費用が執行されなかった。また、昨年開催予定であった国際口蓋裂学会が本年に延期されたため、多くの資金を繰り越すこととなったが、次年度の学会参加費に使用する予定である
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