2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔細菌を標的としたがん化学療法における全身合併症予防システムの構築
Project/Area Number |
20K10162
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西 裕美 広島大学, 病院(歯), 助教 (70403558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 耕司 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (20335681)
一戸 辰夫 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (80314219)
小松澤 均 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (90253088)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔内細菌叢 / 周術期口腔管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん化学療法中や周術期には,口腔細菌等が関連する合併症発症を予防する事を目的とし,治療開始前からの口腔管理が推奨されている.発熱性好中球減少症は化学療法中合併症の1つであるが,その原因として口腔細菌が関連していることを示す報告は現在までにない.申請者らは当院で化学療法を行う患者に対し,発熱性好中球減少症の発症と口腔環境について解析している.まず2020年度は、発熱性好中球減少症など細菌が原因となる合併症発症リスクが高い化学療法患者を中心に,唾液・プラーク・舌苔および便を採取している. さらに、歯科初診時に,通法の口腔検査や申請者らが開発した口腔感染源評価を行う.要加療歯の治療や口腔衛生管理を継続しながら,評価を継続している. これらの臨床的な口腔評価と合併症リスクに関連する項目 (年齢,性,全身疾患の既往,喫煙,アルコールなどの嗜好品など),化学療法前からの全身状態 (血液検査など),治療方法 (化学療法種類,投与量・期間など) とを統計解析し、発熱性好中球減少症をはじめとした合併症発症や増悪に関係する口腔のリスク因子を統計解析している. 現状までの解析結果では、発熱性好中球減少症発症群では,歯周炎の評価指標であるPISAが非発症群と比較して有意に高値で,う蝕経験値や,治療前後の口腔細菌数に両群の違いは認めなかった.これらの結果を元に、化学療法中合併症予防や軽減に有効な各々の「カットオフ値」を検討している. 今後,化学療法中患者で口腔管理を行う際は,合併症に関連する細菌や細菌叢をターゲットとして口腔管理を行うためにシステムを 構築することが重要である.そこで、採取した各種試料より特定の口腔細菌,細菌叢がどのような合併症に影響するかを明らかにするために、歯周病菌を中心とした血清抗体価の測定や、口腔内細菌叢の解析を開始している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「口腔のどのようなリスク因子が どのような合併症や疾患に影響するのか」 を明らかにする目的で研究を行ってきた. まず,多くの職種が口腔管理に参加しているにも関わらず,歯科以外の職種は口腔の問題点を把握するのが困難であることに着目し、口腔にどれほど感染源を有するかを算出するための新たな評価法を作成した.また歯周病を,従来のポケット長やポケット測定時の出血率で評価するだけではなく,PISA:Periodontal inflamed surface area を用いて歯周病の影響を数値で表す取り組みを行っている. この新規のアセスメントやPISAを用いて,口腔の感染源の多さと歯周病重症度が,化学療法中合併症の1つである発熱性好中球減少症と関係するという結果を得た.すなわち,当院血液内科での化学療法患者 82名で検証したところ,FN発症群は非発症群と比較して, 口腔に感染源を有する率が高く,さらにPISA値が有意に高かった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、化学療法開始前の血清より,多菌体の歯周病菌血清抗体価をELISA法で測定し、さらに分離培養した歯周病菌と合併症の有無や程度との関連を統計解析する予定である. また、化学療法開始前に採取した唾液,プラーク・舌苔・便からDNAを抽出後,16SrRNA遺伝子を指標とした細菌叢解析を行う. 細菌叢と合併症の有無や程度との関連を統計解析する.
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Causes of Carryover |
細菌叢解析に関して、ライブラリー作成を行った後にまとめて解析を行う予定としている。細菌叢解析に用いる次世代シーケンサーカートリッジ購入を次年度に購入する予定としているため、次年度使用額が生じている.
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Research Products
(1 results)