2023 Fiscal Year Annual Research Report
GABAAサブユニット作動薬を用いたバーニングマウス症候群の新規治療法開発
Project/Area Number |
20K10171
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
野間 昇 日本大学, 歯学部, 教授 (70386100)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バーニングマウス症候群 / 味覚 / 卵巣摘出 / 性ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、口内に痛みを伴うBurning Mouth Syndrome(BMS)患者において、中枢感作の影響と味覚変化の関連性を検討することを目的とした。この研究では、診断ツールとして中枢感作インベントリ(CSI)を用いて、特定の原因から生じる二次性BMS(SBMS)と、原因が特定されない原発性BMSを区別することを試みた。BMS患者は、SBMS患者と比較して、視覚アナログスケール(VAS)スコアとCSIスコアが有意に高かった。また、両グループ間の味の閾値には有意な差は見られなかった。相関分析では、BMS患者においてCSIスコアと塩味および苦味の閾値との間に正の相関があり、一方、SBMS患者では負の相関が観察された。VASスコアは、両グループで年齢と症状の持続期間と正の相関があった。本研究では、BMSとSBMSの間で味の閾値に有意な違いはみられなかった。BMS患者におけるCSIスコアと味の閾値の間の正の相関は、中枢感作プロセスとの関連性を示唆する。BMSおよびSBMSの診断的アプローチを洗練するためには、潜在的なメカニズムを明らかにし、さらなる臨床研究が必要となる。次に動物研究では、BMSの疼痛発症機序を解明することを目的として、卵巣摘出(OVX)を行ったラットを用いた実験を行った。これらのラットの舌への温度刺激と機械刺激による痛覚反射閾値(TWT)を測定し、また組織切片を用いて舌の組織を調査した。結果: OVXラットの機械刺激に対するTWTはOVX後に有意に低下し、Shamラットと比較して有意な差があった。また、OVXラットの舌の組織切片では、神経線維の減少が観察された。結論: 卵巣摘出による性ホルモンの減少が、舌の痛覚過敏を誘発する可能性が示唆された。さらなる研究により、神経障害性疼痛の関与や性ホルモンとBMSの関連性について探究されることが期待される。
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