2023 Fiscal Year Research-status Report
近赤外分光法(fNIRS)を応用した歯原性疼痛の客観的評価法の開発
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20K10172
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
稲本 京子 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (00469008)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 機能的近赤外分光法 / fNIRS / 歯原性疼痛 / 客観的評価法 / 慢性疼痛 / 情動ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
「痛み」は、多くは「急性疼痛」であり、創傷が治癒することでその痛みは消退するが、中には痛みが慢性化する「慢性疼痛」と呼ばれる状態になることがある。歯科領域においても、顎関節、咀嚼筋、舌における持続的疼痛や、歯内治療や抜歯を行ったにも関わらず痛みが変わらないなどの慢性疼痛に苦しんでいる患者は多い。情動ストレスは慢性疼痛の発生や悪化に影響を及ぼす要因の1つである。そのため、機能的近赤外分光法(fNIRS)を用いて、健常者に情動ストレスを負荷した際の脳血流変化を測定し、情動ストレス負荷時の前頭前野の活動状況の評価を行っている。fNIRSは、近赤外線という生体に無害な光を使うため安全性が非常に高い。情動ストレスは、視覚刺激として、国際感情画像システムから情動価の異なる中性画像、快画像、不快画像を選択し使用している。実験デザインは、前レスト、タスク、後レストを1試行とし、10試行を繰り返すブロックデザインで行っており、タスクでは、中性画像、快画像、不快画像の順に画像を呈示している。分析は、タスク直前のレスト時およびタスク時のそれぞれ同じ時間から得られた血流動態の平均値をチャンネルごとに算出し、タスクによる脳血流の変化状況を観察し、全10試行のうち試行間での血流動態の変化をチャンネルごとに観察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は口腔内に直接痛み刺激を負荷した際の前頭前野の脳血流動態を評価する予定だったが、痛みの慢性化程度をより治療の初期段階で把握できるように、情動ストレス負荷時の前頭前野の脳血流変化の検討をまず行うこととしたため、計画に変更が生じ、遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は被検者の数をさらに増やし、情動ストレスに対する前頭前野の活動状況の検討を継続する。また、被検者に質問紙(HAD尺度(Hospital Anxiety and Depression Scale)、痛み破局化尺度(PCS)等)を回答してもらいその分析を行う。HADSは、抑うつや不安といった症状を高い確度で測定するテストで、PCSは痛みの慢性化の重要因子である破局的思考の傾向の把握が可能である。脳血流動態の客観的情報と質問紙からの主観的情報を評価し、これらの関連性の検討を行う。痛みを認知的および情動的側面を含めて総合的に評価し、適切な治療法の選択や治療の効果を推定するシステムの確立を目指す。
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Causes of Carryover |
当初の口腔内に直接痛み刺激を負荷した際の前頭前野の脳血流動態を評価する予定から、情動ストレス負荷時の脳血流変化の検討を先に行うこととした。このため、計画に変更が生じ次年度使用額が発生した。令和6年度は、国内学会および国際学会において、研究調査や成果発表のための旅費、また、脳血流動態を記録するための追加の物品や測定データ分析の費用を予定している。
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