2021 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive analysis of salivary exosome proteins for drug delivery system development
Project/Area Number |
20K10174
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Research Institution | THE NIPPON DENTAL UNIVERSITY COLLEGE AT NIIGATA |
Principal Investigator |
今井 あかね 日本歯科大学新潟短期大学, その他部局等, 教授 (60180080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 紀子 日本歯科大学新潟短期大学, その他部局等, 講師 (00352782) [Withdrawn]
煤賀 美緒 日本歯科大学新潟短期大学, その他部局等, 助教 (00723678)
辻村 麻衣子 (羽下麻衣子) 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (60535219)
岡 俊哉 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (90213909)
浅沼 直樹 日本歯科大学新潟短期大学, その他部局等, 教授 (90231886)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エクソソーム / 唾液 / タンパク質 / 年齢差 / 性別差 / 精製法 |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソソームは新しい細胞間情報伝達システムとして注目されている。唾液中にもエクソソームが存在しており口腔内のみならず消化器の上皮細胞を通して全身に情報を伝達していると考えられる。さらには個体間の情報伝達も可能である。そのエクソソームに内包されている物質がどのようにしてレシピエント細胞(受容細胞)へ取り込まれていくのか不明な点も多い。本研究では新規ドラッグデリバリーシステム構築の足がかりとするため唾液エクソソームに着目して、その組成に関連した細胞間物質輸送システムを考察・解明することを目的としている。 令和3年度も前年に引き続きコロナ禍ではあったが、感染防止に努めながら僅かではあるが新たな唾液サンプル採取をすることができた。これまで蓄積してきた全唾液・唾液エクソソームサンプルと合わせて分析と精製の検討を行った。これにより、年齢層による唾液エクソソームの更なる相違点を明らかにすることができた。前年度の熟年期・青年期の唾液に加えて、小学生{9.0±1.81(標準偏差)歳}からも採取することができ、Total Exosome Isolation Regent (Invitrogen)を用いて調製(TEI)した結果、唾液1mL当たりのタンパク質濃度は約10μgと青年期女性唾液に比べて半分以下であった。一方、エクソソームの精製法を検討した。これまでに使用したことのない調製キットを試してみたが、検出限界以下であった。また、全唾液からペレットダウン超遠心法(PDUC)によるエクソソーム調製は安定的に行えるようになったが、エクソソーム外の唾液タンパク質の混入があり精製度に問題があった。これを解決するために200mL以上の凍結全唾液を用いて密度勾配超遠心法にチャレンジしたが、残念ながら良好なデータは得られなかった。そこでカラム法を併用した精製を試み、安定的なエクソソーム抽出に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により、当初、予定通りの唾液サンプル収集に支障が出ていたが、令和3年度は小児の唾液採取をすることができた。しかしながら、プロテオーム解析ができる量には達しなかったため、タンパク質定量およびエクソソームマーカーであるCD9の検出のみとなった。 一方、TEI による抽出と PDUC による抽出をしたエクソソームを比較すると TEI は低分子領域のタンパク質が多く、PDUC は比較的高分子タンパク質が多かった。また、iTRAQ を用いて若年男女の全唾液より TEI 調製サンプルと PDUC 調製サンプルの相対比を検討した結果、まだ解析途中ではあるが男性の方がイムノグロブリン群が高い傾向にあった。 エクソソーム精製法確立の検討では、PDUC 法とqEVカラム法を併用することで安定的な精製ができる目途がついた。
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Strategy for Future Research Activity |
エクソソームの精製に目途がついたことにより、PDUC 調製とさらにカラムにより精製をしたサンプル間でどのくらいのエクソソーム外の全唾液由来のタンパク質を除くことができたのか解析を行う予定である。さらに精製したエクソソームをラベル化して培養細胞に対する取り込みがあるかどうかを調べる実験に向けた予備実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大のため、参加する予定であった学会がオンライン開催となったため、計上していた旅費を使用しなかった。また、初年度に解析委託経費を計上していたが、プロテオーム解析に十分なエクソソーム量が得られなかったことにより、委託解析を行えなかった。その代り精製法を確立するためにオートフラクションコレクターを購入した。令和4年度に解析費用を支出予定である。
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Research Products
(6 results)