2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔潜在的悪性疾患のがん化における細胞老化の関わり
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20K10182
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
笹部 衣里 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (40363288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 哲也 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00200824)
仙頭 慎哉 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (30635264)
北村 直也 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (70351921)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞老化 / SASP / 口腔扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞老化はDNA損傷ストレスにより誘導され、老化状態に陥った細胞は、細胞分裂が不可逆的に停止して増殖が抑制されるだけでなく、様々な生理活性物質を分泌するSASP(細胞老化関連分泌現象)と呼ばれる現象を引き起こすことが知られている。そこで、今年度は口腔粘膜の癌化過程の各段階における細胞老化の関わりについて明らかにするため、正常口腔粘膜、口腔扁平苔癬、口腔白板症、上皮内癌、口腔扁平上皮癌の生検材料より切片を作製し、細胞周期関連蛋白(p53、p21CIP1)の免疫組織学的検討を行った。 その結果、正常口腔粘膜、口腔白板症と比較して、口腔扁平苔癬、上皮内癌、口腔扁平上皮癌では上皮の基底層で細胞老化マーカーの一つであるp21CIP1の発現が亢進していた。一方、p53は発現症例と非発現症例があり、染色強度も一定でなく、病変特異的な発現傾向は認められなかった。また、現在は他の細胞老化マーカー、DNA損傷ストレス分子について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
免疫組織化学染色を行った症例数が少ないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は免疫組織化学染色の症例数を増やすとともに、不死化正常口腔粘膜上皮細胞RT-7およびOPMD患者、健常者の口腔粘膜上皮から分離したケラチノサイトを用いて、細胞老化誘導DNA損傷ストレス(p53変異遺伝子の導入、酸化的ストレス、紫外線・放射線照射など)に曝露させ、細胞老化誘導(SA-β-gal染色、活性測定)、細胞分裂停止(PI、CFSE染色によるフローサイトメトリー)、SASP誘導(サイトカインアレイ、ELISAによるサイトカインレベルの測定)への影響を検討し、口腔粘膜上皮細胞における細胞老化誘導DNA損傷ストレスを同定する。
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Causes of Carryover |
免疫組織化学染色に必要な試薬、材料は既に保有していたため。
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