2020 Fiscal Year Research-status Report
口腔内病原菌内毒素により誘発される膵臓のエピジェネティクス変化
Project/Area Number |
20K10187
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
安彦 善裕 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90260819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植原 治 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (00709248)
太田 亨 北海道医療大学, 健康科学研究所, 教授 (10223835)
藏滿 保宏 北海道医療大学, 医療技術学部, 教授 (50281811)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / 歯周病原菌 / 膵臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔内の病原菌、特に歯周病原菌が様々な全身疾患の誘因や増悪因子となることが明らかとなっている。糖尿病や膵臓がんなど膵臓に関わる疾患の発症や増悪に関与することが示唆されてきているが、そのメカニズムは明らかとなっていない。様々な病原菌を初めとした外因の慢性的な刺激によって引き起こされる遺伝子修飾にエピジェネティクスがあり、われわれは口腔内の病原菌由来内毒素が膵臓関連疾患の発症に際してエピジェネティクス修飾を引き起こすことに着目した。 本研究では、口腔内病原菌である歯周原菌由来内毒素(LPS)による、膵臓でのエピジェネティクス修飾を網羅的に観察し、口腔内病原菌が影響を及ぼす膵臓関連疾患のエピジェネティクス遺伝子を同定することを目的とする。 今年度は、膵臓への影響を検証するため、P. gingivalis由来LPS(ATCC 33277株)を生理食塩水に溶解し、5.0 mg/kgの濃度で8-10週齢のC57BL/6J雄性マウスへ腹腔内注射し(LPS投与群)、3日毎に30日間投与した。対照群には、同量の生理食塩水を腹腔内注射した。マウスを屠殺後、膵臓より抽出されたtotal RNAを用いて遺伝子のマイクロアレイ網羅的解析を行った。網羅的解析の結果、対照群と比較し、LPS投与群において全遺伝子中2倍以上の発現増加がみられたのは1,591 プローブ、0.5倍以下の発現減少がみられたのは527 プローブであった。得られた解析結果から発現上昇が強く認められた上位10遺伝子を検索した結果、膵臓がん特異的遺伝子のRegenerating islet-derived protein 3 gamma (Reg3G)が該当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初の予定通り遺伝子網羅的解析を行ったため、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度得られた結果のうち、膵臓がん特異的遺伝子Reg3Gについて詳細な解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は当初の計画よりも順調に結果を得ることができたため、次年度は当初の計画よりも詳細な解析実験を行う予定であることから、次年度使用額が生じることとなった。
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