2022 Fiscal Year Research-status Report
IFN-γに焦点をあてた口腔顔面領域における神経障害性疼痛治療法の開発
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20K10192
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岡田 明子 日本大学, 歯学部, 教授 (10434078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 雅路 日本大学, 歯学部, 教授 (20362238)
岩田 幸一 日本大学, 歯学部, 特任教授 (60160115)
今村 佳樹 日本大学, 歯学部, 教授 (90176503)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | IFN-γ / 神経障害性疼痛 / アストロサイト / ミクログリア / IFN-γアンタゴニスト |
Outline of Annual Research Achievements |
三叉神経の障害により,口腔顔面領域に難治性の神経障害性疼痛を発症することがあるが,詳細は明らかにされていない。本研究では,上顎神経を障害させた(infra orbital nerve injury; IONI)神経障害性疼痛モデルラット(IONIラット)を作製し,サイトカインIFN-γの関与を調べることにした。上顎神経支配領域(V2)の口髭部への機械刺激に対する逃避反射閾値(HWT)は,IONI後に有意な低下を認めたが,三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)領域へのIFN-γ受容体アンタゴニスト投与によりその低下は抑制された。また,IONIにより,Vc表層におけるIFN-γたんぱく量は有意に増加し,VcにおけるミクログリアマーカーのIba1,アストロサイトマーカーのGFAP,神経細胞のマーカーであるNeuNとIFN-γ受容体の免疫二重染色では,GFAP陽性細胞だけに多くのIFN-γ受容体陽性発現が認められ,アストロサイト上にIFN-γ受容体が発現していることが示唆された。Naive ラットのVcにIFN-γを投与することによりHWTが低下したが,IFN-γとアストロサイトのインヒビターであるFCの同時投与により,その低下は抑制された。また,VcにおけるGFAP陽性発現量は,IFN-γの投与によりVc表層において有意に増加し,IFN-γとFCの同時投与にて,その増加が抑制された。Vcにおける侵害受容ニューロンの自発放電頻度および機械応答は,shamラットとFN-γ投与のIONIラットと比較し,IONIラットにおいて有意な増加を認めた。以上の結果より,三叉神経の損傷によって産生されたIFN-γがVcにおけるアストロサイト上のIFN-γ受容体と結合し,アストロサイトが活性化され,眼窩下神経障害により引き起こされる口腔顔面の痛覚過敏に関与している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画より研究は遅延している。当初計画していたグルタミン酸受容体の一つであるpGluR1のVc領域での陽性発現が明らかでなく,数社のpGluR1抗体で再免疫染色を行ったが,十分な発現量は認められなかった。また,IFN-γ受容体のミクログリアでの発現様式を確かめる必要があり,脊髄における2重免疫染色の追加実験を施行したため時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
FN-γが異所性の神経障害性疼痛に関与することをは示されたが,IFN-γがどの細胞から産生されるかは未だ不明のままである。よって,ミクログリアとアストロサイト細胞培養を行い,ELISAキットを用いてIFN-γの同定を行いたい。途中までの結果をまとめて国際雑誌に投稿したが,細胞培養の結果をもって論文を完成させ,新たに国際雑誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた研究計画が遅延したため,予定していた学会発表を行えなかった。よって,計画していた学会参加費や学会参加の旅費が不要になったため残金が生じた。また,予定していた研究計画の後半に使用予定であった物品を購入しなかったため残金が生じた。 使用計画としては,まだ実施できていないアストロサイト,ミクログリア,神経細胞の細胞培養にてIFN-γの抽出によるIFN-γの産生細胞の同定を行いたいため,細胞培養に必要な物品を購入したい。また,全ての結果をまとめ国際雑誌に投稿する予定であるため,投稿費が必要である。
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