2021 Fiscal Year Research-status Report
成長期鼻呼吸障害の早期改善による顎顔面成長機構への影響と治療意義の解明
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20K10198
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
米満 郁男 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00431940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 康広 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (60631968)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鼻呼吸障害 / 成長発育 / 上顎骨 / 下顎骨 / 回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラット鼻呼吸障害回復モデルを作製し、上下顎骨の骨形態計測ならびに下顎頭の組織学的評価により、成長期の鼻閉回復がもたらす顎顔面骨格の変化、さらには咀嚼筋の組織学的、生化学的検討により、筋組成変化ならびに収縮特性の変化を明らかにすることで、その治療最適時期を解明することを目的とした。 4週齢Wistar系雄性ラット42匹を全6群(対照群、1週回復群(以下W1群)、W3群、W5群、W7群、W9群(各群 n=7))に無作為に分け実験を行った。実験群35匹は吸入麻酔後に左鼻孔を縫合し、抜糸により回復した。全ての群を13週齢まで飼育し、屠殺した。実験小動物用パルスオキシメーターを用いて血中酸素飽和度(SpO2)を毎週測定した。6群間の体重に有意差は認められなかった。SpO2はW7群以降で有意に減少した。 前年度、micro-CTの結果より、下顎枝の長さがW7群以降で有意に減少した。 今年度、顎関節を先行研究に基づきパラフィン包埋し、顎関節矢状断切片を作製した。下顎頭軟骨のトルイジンブルー(TB)染色を行い、superior regionにおける軟骨層の厚みを計測した結果、軟骨層全層、特に肥大細胞層において、W7群以降に有意に減少した。線維層、増殖細胞層、成熟細胞層においては有意な差は認められなかった。また、同様の範囲においてHIF1-α陽性細胞率はW7群以降、対照群に比べて有意に増加した。即ち、micro-CTの結果とTB染色、HIF-1α免疫染色の結果は一致した。 さらに、咬筋ならびに側頭筋の筋断面積の変化については、W7群以降で優位に減少した。つまり、鼻閉回復に伴う筋の形態変化が認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度のmicro CTを用いた顎顔面骨格の骨形態解析の結果に加え、下顎頭軟骨における組織学的染色、免疫組織学的染色について概ね終了した。それらの結果を昨年末の矯正歯科関連の学術大会において発表し、評価を得た。 筋組織に関する研究の進捗は、筋断面積の計測が終了し、骨組織同様に鼻呼吸障害回復群の成長回復については明らかにしたものの、免疫染色化学染色の条件設定に苦慮しており、やや遅れを取っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、成長期の鼻呼吸障害の回復が下顎頭の形態変化に及ぼす影響について明らかにすべく、各種免疫組織化学染色の結果を統計学的に処理し、比較検討する予定である。 また、ラットの飼育は概ね終了していることから、これまで染色条件等に苦慮していた咀嚼筋の免疫組織学的、生化学的解析についても、速やかに進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
Covid-19感染拡大防止のための所属研究機関の研究活動制限の方針により、予定通り研究が進捗しなかったため。
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