2020 Fiscal Year Research-status Report
Effect of CCL11 derived from deciduous tooth on pulp and root resorption
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20K10205
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
長谷川 智一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (50274668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳歯 / 歯髄 / 歯根吸収 / 破骨細胞 / CCL11 / 静的圧迫力 / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の樹立した乳歯歯髄細胞株が産生するC-C motif chemokine 11 (CCL11)が乳歯歯根の異常吸収や内部吸収に関与していているかどうかを検討するために、歯根吸収の担い手である破骨細胞の分化誘導にCCL11が関与するかどうかを解析を行った。 破骨細胞の誘導モデルとして、マウス腹水由来単球マクロファージであるRAW264.7 (RAW)細胞を使用した。RAW細胞はReceptor activator of nuclear factor-kappa B (RANKL)の存在下で多核の酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(Tartrate-Resistant Acid Phosphatase;TRAP)陽性の破骨細胞に分化する。この誘導モデルを用いて、矯正治療時の歯の移動の際、圧迫側には矯正力である圧迫力が付与されることになる。この際、破骨細胞が歯根を支える歯槽骨表面に誘導され、骨吸収が生じる。さらに過度の矯正力が付与された場合、歯根さえも吸収されてしまうことから、圧迫力による破骨細胞の誘導能の検討も行った。さらに圧迫側は血管が潰され、低酸素環境になることも考えられる。そこで今年度はマイルド低酸素環境下(酸素濃度8%)での破骨細胞の分化誘導能の検討も行った。 静的圧迫力として気相による圧迫力を0.02MPa (≒0.2 kgf/cm^2)付与した場合、破骨細胞の分化は著しく抑制された。また酸素濃度8%の場合でも破骨細胞の分化は抑制された。そこで新たに微気圧での破骨細胞の分化誘導能を検討するとともに、よりマイルドな低酸素環境での解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
原因不明の施設の停電により細胞、試薬、サンプル等が全て失われてしまったためである。細胞を学部内の他の2講座より譲り受け、破骨細胞の誘導能を検討したが、分化能が失わてしまっていた。またATCCに細胞の発注をすぐに行ったが、コロナ禍のため航空便の配送が遅れ、納入までに2か月間を要してしまったためである。また微気圧の圧縮培養箱の作成にもコロナ禍よりアクリル板の調達に影響し、1.5か月間も要してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
停電の影響から最速で復旧していると考えられる。新たなRAW細胞による破骨細胞誘導モデルも3か月間を要したが回復した。今後は様々な条件下での検討を行い、その分子メカニズムの解析を行う予定である。 1. 圧迫培養による破骨細胞の分化誘導機構の解析:矯正力により歯を移動する際、圧迫側では骨吸収を生じる。すなわち圧迫力により破骨細胞の分化誘導や活性化が生じる可能性がある。そこで当研究室で作成した圧縮チャンバーを使用して静的圧迫力を負荷した場合の破骨細胞の分化誘導機構を解析する。 2. 低酸素環境での破骨細胞の分化誘導機構の解析:矯正力により歯を移動する際、圧迫側では血管の圧迫により低酸素環境になると考えられる。そこで低酸素で培養し、破骨細胞の分化誘導能を検討する。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナ禍のため成果発表が十分に行えなかったため、旅費や学会参加費が使用できなかった。さらに施設の停電のため、細胞株、特注の研究機器などの入手にも時間がかかり、十分な研究が行えなかったことも1因である。 今後の研究推進方策にも記したが、1.圧迫培養時および2.低酸素環境下での破骨細胞の分化誘導機構の解析を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)