2022 Fiscal Year Research-status Report
ビスホスホネートの投与経路による細胞内取込機構解明と副作用を克服した投与法の開発
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20K10217
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
船山 ひろみ 鶴見大学, 歯学部, 講師 (00359530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇田 亮 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60376712)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ビスホスホネート / 炎症性副作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨吸収抑制薬bisphosphonates(BPs)は、骨吸収亢進を伴う疾患に広く用いられているが、発熱や顎骨壊死(Bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw: BRONJ)等の炎症性副作用のリスクがある。骨吸収抑制の機序は異なるが抗RANKL(Receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand)抗体のデノスマブ(Denosumab)においても顎骨壊死が報告され(Denosumab-related osteonecrosis of the jaw: DRONJ)、この両者を合わせて Antiresorptive agent-related osteonecrosis of the jaw(ARONJ)、さらに血管新生阻害薬等による顎骨壊死が報告されたこともあり、現在ではMedication-related osteonecrosis of the jaw(MRONJ)と呼称するのが一般的となっている。製剤の切り替えや新規薬剤での報告もあり、顎骨壊死に関連する薬剤、およびその服薬形態は多様化してきている。 昨年度は点滴投与患者を想定し、窒素含有 BPs (N-BPs) の一つで、強い骨吸収抑制作用はあるが炎症反応も強いZoledronate (商品名ゾメタ/リクラスト:N-BP)の静脈投与における炎症性サイトカインの動向を検討した。本年度は、Zoledronateに加え、抗RANKL抗体(OYC1)の検討も行った。これまでの研究でBP-band(成長期マウスへのBPの1回投与で生じる脛骨骨端部のエックス線低透過帯)を用いて骨吸収抑制作用を評価してきたが、今回はマイクロCTを用いて、より詳細な形態学的な比較を試みた。BALB/cマウス(雄、4週齢)にtest sampleを静脈内投与し、2週後の脛骨を摘出、4% Paraformaldehyde/PBSで固定後、マイクロCT撮影を行い、TRI/3D-BON-BMD-PNTM software (RATOC)を用いて形態ならびに骨塩量の比較・解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大のために複雑化した業務が常態化し、予定していた研究を継続して行うことが困難であった。加えて講座内に生じた人員不足のため、診療や教育に割く時間が増えたことも、研究が遅れた要因となっている。 また、新しく導入したマイクロCTを用いた解析の条件設定に時間がかかり、研究の進行が遅延してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
N-BPs投与患者ではデノスマブにより顎骨壊死が起こりやすいとの報告がある。来年度はN-BPsならびにデノスマブの単独投与だけでなく、併用投与を検討したい。また、これまでの我々の研究でnon-NBPsの一つであるetidronateは、顎骨に蓄積したNBPsを減少させる結果を得ている。N-BPsとデノスマブの併用投与へのetidronateの効果も検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
新しく導入したマイクロCTを用いた解析において、Zoledronateと抗RANKL抗体(OYC1)の比較検討を行う上での至適用量の設定に苦労した。今年度に得られた用量依存性に関する結果をもとに、次年度は、NBPsと抗RANKL抗体の併用投与、加えてnon-NBPの効果についても検討する予定である。
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