2021 Fiscal Year Research-status Report
閉経後の骨粗鬆症に対する乳歯由来歯髄幹細胞の培養上清の効果
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20K10219
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
菊入 崇 日本大学, 歯学部, 准教授 (10322819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 善隆 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (30230816)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒト乳歯由来歯髄幹細胞 / 培養上清液 / 骨粗鬆症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒト乳歯由来歯髄幹細胞から分泌されるサイトカインや成長因子、ケモカイン、エクソソームなどの生理活性分子群が骨組織のリモデリングにおいて骨吸収に対して抑制効果を有することを、動物実験によって明らかにすることを目的にしている。本年度の研究実績として、卵巣摘出後の骨粗鬆症モデルマウスを用い、ヒト乳歯由来歯髄幹細胞の培養上清液を投与し、エストロゲン欠乏によって発症する骨粗鬆症に対して抑制効果を有していたことについて報告を行った(Maeda A, et al., Exp Ther Med. 2022 Apr 23(4):299.)。 この研究において、骨粗鬆症モデルマウスにヒト乳歯由来歯髄幹細胞の培養上清液を投与することで、エストロゲン欠乏による骨吸収が抑制されたことから、ヒト乳歯由来歯髄幹細胞の培養上清液には、骨リモデリングを正常化する因子が含まれていることが判明した。その作用機序についての詳細について検索を行ったところ、骨粗鬆症モデルマウスにおいてエストロゲン欠乏により活性化していた炎症性免疫細胞が、ヒト乳歯由来歯髄幹細胞の培養上清液の投与によってその活性が改善されていることを明らかにした。 本成果と関連するデータにおいて、ヒト乳歯由来歯髄幹細胞の培養上清液中の生理活性分子群が免疫調節に関わることが予想されることから、ヒト乳歯由来歯髄幹細胞による免疫調整機能と骨組織のリモデリングにおける相互機能の解析が今後重要になると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は、研究代表者の所属大学の移動、移動後の大学の施設新築による学内での研究室の移動のため研究の進行が停滞した。しかしながら、本研究に おける当初の目的の一部は、論文として発表でき、確実な進捗を示していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の当初の目的は、ヒト乳歯由来歯髄幹細胞における骨組織におけるリモデリングの調節作用についてより探索することである。より具体的には、ヒト乳歯由来歯髄幹細胞がどのように骨組織のリモデリングに関わっているのか?さらに、その作用機序を明らかにすることである。ヒト乳歯由来歯髄幹細胞の骨吸収抑制作用の一部は、昨年度論文として報告した。また、その後の研究で、これらの作用機序は、ヒト乳歯由来歯髄幹細胞とマクロファージとの相互作用にかかわることが明らかになってきたため、更なる探索を進める予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた研究計画が遅延しており、そのに伴い計画の後半に使用予定であった試薬等の消耗品の購入を行わなかったため残金が生じた。繰越金と令和4年度助成金をあわせて,計画通りに本実験を遂行するために必要な物品費(実験動物,抗体,薬品)について使用する。
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