2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidatin of the mechanism of oligodontia casued by Wnt mutation using in vivo assay
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20K10227
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
泰江 章博 徳島大学, 歯学部, 専門研究員 (80380046)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯牙欠損症 / Wnt / 歯の発生 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
WNTは、体軸形成、器官形成、細胞増殖・分化を制御するなどの、様々な生体機能調節に関与する分泌型糖タンパク質であり、そのシグナル伝達経路もよく研究されている。WNTファミリーメンバーであるWNT10AとWNT10Bは歯牙欠損症の原因遺伝子として同定されたが、それぞれの遺伝子破壊マウスでは歯数減少を示さなかった。一方、研究代表者の作製したそれらダブルノックアウトマウスでは一部歯の欠損を認めた。本研究では、WNTと歯の発生に関して、ゲノム編集技術を利用しながら、遺伝子機能喪失と表現型スペクトラムとの関連を中間表現型である遺伝子発現プロファイル変化を介して詳細に解明するin vivo 分子機能アノテーションを行うことで、各遺伝子ならびに歯牙欠損に関する分子的理解を深化させることを目指し研究を行った。 ゲノム編集技術を用いWnt10aとWnt10bのダブルKOマウス(Wnt10a-/-;Wnt10b-/-)を作製したところ、単独欠失変異体と異なり、上顎切歯・第三臼歯が欠失した。上顎第二臼歯・下顎切歯も矮小化しており、また、歯冠形態はWnt10a-/-同様平坦でタウロドントを呈し、さらに各々の変異体では認められなかった体長の減少も生じた。この結果は、Wnt10aとWnt10bのパラログ間での機能の重複・補完を示唆するものでもある。 次に、Wnt10a+/-;Wnt10b+/-,Wnt10a-/-;Wnt10b+/-, Wnt10a+/-;Wnt10b-/-を作製した。 Wnt10a+/-;Wnt10b+/-は全く表現型を示さなかった。Wnt10a-/-;Wnt10b+/-はWnt10a-/-とほとんど同じ表現型だった。すなわち、歯冠形態は平坦でタウロドントを呈した。歯数変化は認めなかった。一方、Wnt10a+/-;Wnt10b-/-では、下顎diastimaに過剰歯を確認した。 今後、Wnt10aとWnt10bの歯の発生過程における発現パターン解析から、摘出歯胚のRNA-seq解析による発現量変動遺伝子の同定・解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Wnt10a-/-;Wnt10b+/-, Wnt10a+/-;Wnt10b-/-, Wnt10a-/-;Wnt10b-/-作製・病態解析 ゲノム編集技術を用いWnt10aとWnt10bのダブルKOマウス(Wnt10a-/-;Wnt10b-/-)を作製したところ、単独欠失変異体と異なり、上顎切歯・第三臼歯が欠失した。上顎第二臼歯・下顎切歯も矮小化しており、また、歯冠形態はWnt10a-/-同様平坦でタウロドントを呈し、さらに各々の変異体では認められなかった体長の減少も生じた。この結果は、Wnt10aとWnt10bのパラログ間での機能の重複・補完を示唆するものでもある。 次に、Wnt10a+/-;Wnt10b+/-,Wnt10a-/-;Wnt10b+/-, Wnt10a+/-;Wnt10b-/-を作製した。 Wnt10a+/-;Wnt10b+/-は全く表現型を示さなかった。Wnt10a-/-;Wnt10b+/-はWnt10a-/-とほとんど同じ表現型だった。すなわち、歯冠形態は平坦でタウロドントを呈した。歯数変化は認めなかった。一方、Wnt10a+/-;Wnt10b-/-では、下顎diastimaに過剰歯を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
・Wnt10aとWnt10bの歯の発生過程における発現パターン解析 Wnt10a、Wnt10bとも歯の発生の蕾状期から帽状期、鐘状期初期にかけ上皮に発現する。既に下顎第一臼歯における発現パターンの報告はあるが、Wnt10a-/-;Wnt10b-/-の欠損歯は上下顎で差があることから、切歯を含め各ステージ、上下顎でin situ hybridization法にて確認する。 ・摘出歯胚のRNA-seq解析による発現量変動遺伝子の同定・解析(泰江・大学院生) Wnt10a-/-;Wnt10b-/-の胎生12.5, 13.5, 14.5, 15.5日胚における上顎第一臼歯歯胚を摘出し、RNA抽出後、次世代シーケンサー(Illumina社、NextSeq550)を用いたRNA-seq解析による発現量の定量・比較を行い、経時的に変動する遺伝子を各ステージで同定し、表現型の有無や多様性と比較する。発現変動の見られた代表的な遺伝子の発現量・様相をreal-time qPCRとin situ hybridization法にて再確認する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、旅費が発生しなかったため。 主に、動物飼育費としての使用を計画している。
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