2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒストンアセチル化に着目した歯と顎顔面形成のエピジェネティック制御機構の解明
Project/Area Number |
20K10233
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
渡辺 幸嗣 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (30570650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中富 満城 産業医科大学, 産業保健学部, 准教授 (10571771)
古株 彰一郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (30448899)
牧 憲司 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (60209400)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / 顎顔面発育 / 過剰歯 |
Outline of Annual Research Achievements |
エピジェネティクスとは“DNA配列の変化を伴わず,ヒストンのメチル化やアセチル化などによる遺伝子発現の遺伝的変化”と定義される.歯や顎顔面形成ならびにそれらの異常である唇顎口蓋裂などの先天奇形の成因にエピジェネティクスが関与する.小児歯科臨床において,歯数の異常である過剰歯にはしばしば遭遇し,歯数の異常や歯列不正,咬合に影響を与えることは少なくない.これまでも過剰歯発生の原因には不明な点が多い.複数の説,すなわち歯胚の分離説,先祖がえり説,組織誘導説,歯堤・歯胚の過剰形成説などが提唱されているが,1つの説で過剰歯を説明するのは難しい.さらに過剰歯の発生には遺伝的要因が関連するとも言われている.親に過剰歯がある場合,その子どもに過剰歯が現れる確率は77.8% であり,逆に親に過剰歯がなく子どもにのみに現れる頻度は42.1% であるとの報告がある.一方で,過剰歯や欠如歯の出現は一卵性双生児内で一致しないことが多いと報告もあることから,過剰歯にはエピジェネティクスな要因が関与する可能性がある.そこで当初の計画から若干の方向修正を加え,SNPアレイで遺伝的背景を探るために,現在過剰歯を有する患者とそうでない患者からDNAをサンプリングしている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響もあり,DNAのサンプルリングに時間がかかってしまっているため.
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Strategy for Future Research Activity |
DNAの網羅的解析を行い,疾患と関連のある遺伝子を見つけ出す.In vivo, In vitroの実験でその遺伝子の機能を検討し,ヒストンのアセチル化まで辿り着きたい.
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症拡大のため、計画されていた数の唾液サンプルが集まらず、DNAの精製に要する費用が計画を下回った。次年度、DNAの精製やSNPアレイのための費用として使用する計画となっている。
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