2021 Fiscal Year Research-status Report
デジタル印象採得装置による形態学的歯科個人識別法に関する推進研究
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20K10255
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
笠原 典夫 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30778478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 安孝 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (40598851)
松永 智 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (70453751)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 法歯学 / 法医人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は光学印象採得装置を用いて個人を識別するための方略を策定することを目的としている。今年度は光学印象採得装置を用いて個人識別を行うための基礎的データを取得し、精査した。先ず、健全歯と治療歯(処置歯)の区別を、3次元STLデータ上で判別することが可能か否かについて検討した。1240本の健全歯と670本の治療歯、190本の欠損歯から成る計2100本をスキャンした。その結果、2096本(99.8%)において歯の状態を区別することが可能であった。このことは、各歯における治療痕の「ある」or「なし」の組み合わせによる歯科的個人識別が可能であることを意味しており、光学印象採得装置は歯科的個人識別に有用であることが示唆された。 次に、実際の御遺体から個人を識別するための十分な歯科的情報を得られるかについて検討することを目的とし、御遺体の上下顎歯列をスキャンした。得られた三次元データから個人を識別するための情報を抽出し、大規模災害を想定した個人識別への応用方法について検討する予定である。 一方、光学印象採得装置は非接触で対象物の三次元データを得ることができ、耳介などの比較的柔らかい器官についても三次元的に比較することが可能である。耳介は個人特異性が高く、指紋と同程度の個人識別能を有しているため、大規模災害などにおける個人識別に用いられてきた。耳介は歯科的情報と異なり、写真やインターネット上で比較対象となる情報を得ることができ、地震や津波などの災害による情報散佚に抵抗性を有する個人情報である。本課題ではそのような耳介の特性を個人識別に応用するための基礎的研究に着手した。先ずは左右差および性差などの識別を行う際の基本的データを収集する目的で耳介の三次元データを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の拡大により、本研究課題が採択された直後は進捗が遅れぎみであった。研究計画を変更することにより、現在は若干遅れている程度まで改善してきている。新型コロナウイルス感染症はエフォートに多大な影響を及ぼした。研究の遅延だけでにとどまらず、オンライン講義や在宅勤務などを強いられることとなり、研究計画策定当時の状況とは大きく異なる状態が長く続いたことに起因しているものと推察される。
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Strategy for Future Research Activity |
御遺体から得られた三次元情報を精査し、個人識別を行うための方略を検討する。御遺体から採取した三次元情報を基に、歯列(残存歯)の情報、健全歯・処置歯に関する情報、修復物の情報、その他特記すべき情報を抽出する。得られた情報から実際に個人を識別することが可能か否かについて検討を行う。 また、耳介については三次元情報から耳長、耳幅などの計測を行い、左右差および性差などを評価し、個人識別のための基礎的な情報を得る。
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Causes of Carryover |
社会情勢により、研究計画に遅延が生じたため、機器を購入する時期が全般的に後ろ倒しになっているため生じたものである。 今後は当初の購入計画に従い、三次元解析用のPCと統計解析用ソフトウェアを購入する予定である。
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Research Products
(1 results)