2023 Fiscal Year Research-status Report
デジタル印象採得装置による形態学的歯科個人識別法に関する推進研究
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20K10255
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
笠原 典夫 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30778478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 安孝 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (40598851)
松永 智 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (70453751)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 法医人類学 / 耳介 / 個人識別 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、光学印象採得装置を個人識別に応用する方略を検討することであり、その一端として耳介の同一性を調べることとした。耳介は体表から容易に観察可能であることに加え、個人特異性が極めて高く、個人の識別に極めて有用である。本研究では、光学印象採得装置を用いて両側耳介の三次元STLデータを取得し、それらを重ね合わせた結果の差分について検討をおこなうことにある。昨年度までは、耳介の光学印象採得をおこない、両耳介のSTLデータの収集まで実施したところであり、今年度はデータを精細に分析した。 データ分析の結果、両耳介の点群の差異は±0.8mmの範囲に最頻値があり、±1.6mmに80%以上の点群が存在しており、左右耳介の高い同一性が示された。また、左右耳介の一致度を表す指標として、点群の差が収束する範囲をパーセンタイル(%ile)として表した。その結果、95%ileは2.5mm以下であり、90%ileは2.0mm以下であり、全点群データの9割が2mmの範囲内の差異しか認められず、両耳介の相同性は極めて高いことが示された。このことは、耳介における個人識別において、反対側の耳介を用いらなければならなかったとしても、それらの同一性の結果には影響を及ぼさないことが示された。 重ね合わせた点群のうち、最も大きな差が認められた点群の部位、換言すると両耳介間で最も形態学的差異を認めた部位を調べたところ、耳垂などの軟骨の裏打ちが無い部位が多かった。この差異については精査する必要性があり、追加の検証を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が長期海外出張のため、研究遂行できない時期があったため、研究の進捗に若干の遅れが出ている。加えて、得られたデータの検証をする必要があり、補完のためのデータ採取が必要になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の確実性と統計学的堅実性を高めるために追加のデータ採取を行い、これまでの研究結果を検証する予定である。検証後、適切な時期に学術論文として投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
研究の過程で、補完データを採取する必要性がでてきたため、消耗品の購入を変更し、次年度に繰り越した。捻出された研究費は補完データの採取のための費用に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)