2021 Fiscal Year Research-status Report
異なる口腔環境より採取したカンジダ菌の性状解析に基づく新規誤嚥性肺炎予防法の開発
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20K10272
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤島 慶 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (50553153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 恵美 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (00304816)
於保 孝彦 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (50160940)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 誤嚥性肺炎 / 義歯 / カンジダ菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
誤嚥性肺炎は高齢者に顕著に認められる。高齢者層と若年者層における口腔環境構成因子について比較・考察するとき、両者の顕著な差異の一つに義歯がある。口腔内に常在化を果たしているC. albicans は誤嚥性肺炎起因菌の一種であり、また、義歯床用材料であるレジンに対し、高付着能を有することが知られている。現在、義歯床粘膜面よりC. albicans 臨床分離株の採取を行い、異なる口腔環境より採取したカンジダ菌の性状解析に基づく新規誤嚥性肺炎予防法の開発として、以下に示す研究を遂行しつつある。 義歯床粘膜面より採取したC. albicans 臨床分離株の性状解析評価項目として、増殖能評価、抗真菌薬であるAmphotericin Bに対する抗菌活性評価、唾液中の抗真菌性ペプチドHistatin5に対する抗菌活性評価、義歯床用材料であるポリメチルメタクリレート(PMMA) への付着能について解析を行った。その結果、増殖能に関して、義歯床粘膜面を由来の臨床分離株群と皮膚由来の指標株において、増殖能に差は認めなかった。一方、Amphotericin Bに対する耐性として、臨床分離株群の方が、指標菌株より高い耐性を示す傾向を認めた。また、義歯床用材料であるポリメチルメタクリレート(PMMA)への付着能に関しては、義歯由来の臨床分離株が、指標株より高い付着能を示す傾向を認めた。 今後、検証を行う臨床分離株数を増やし、また、性状解析項目として、口腔粘膜上皮細胞への付着能、侵入能検証、また口腔粘膜上皮細胞に義歯由来のC. albicans 臨床分離株および指標菌株を感作させた時のサイトカイン産生能について検証予定である。義歯由来のC. albicans 臨床分離株の性状について更なる検証を行い、義歯由来のC. albicans 臨床分離株がもたらす誤嚥性肺炎への影響について検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
義歯床粘膜面からの採取した臨床分離株数により、多検体検証を余儀なくされるため、当初計画した予定より、多少の時間を費やしている。義歯由来のC. albicansの誤嚥性肺炎への影響について新規の知見を得るためには、検体数が多いに越したことはないため、ある程度の研究計画の遅滞は想定内としている。 今後、検証すべき項目があり、多検体検証であるため、更なる研究推進の効率性をあげる必要がある。その中で検証した項目に関しては結果が出ているため、今回の自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、これまでに評価を行った性状解析項目として、増殖能、抗真菌性薬剤であるamphotericin Bに対する耐性能、唾液中の抗真菌性ペプチドHistatin5に対する耐性能、そして、義歯床用材料であるPMMA(ポリメチルメタクリレート)に対する付着能がある。 今後は、義歯由来のC. albicans の口腔粘膜上皮細胞への付着能および侵入能、そしてC. albicans 感作時の口腔粘膜上皮細胞のサイトカイン産生能についての解析を予定している。
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Causes of Carryover |
今年度は主に歯科用材料、抗真菌性薬剤など比較的安価な消耗品を用いた実験系であり、また、前年度購入分の消耗品などを使用したため、次年度使用額が生じた。 今年度は、口腔粘膜上皮細胞などの細胞を用いた、細胞培養系の実験系を予定している。細胞培養系の実験実施に当たり、細胞培養環境の整備、拡大鏡などの器具の購入など予定しており、適切な予算遂行を行う。
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