2021 Fiscal Year Research-status Report
嚥下頻度を用いた重症心身障害児者の誤嚥性肺炎のリスク評価法の確立
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20K10292
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 信和 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (20570295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野原 幹司 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (20346167)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 嚥下頻度 / 嚥下障害 / 誤嚥性肺炎 / 重症心身障害児者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,前年度に引き続き重症心身障害児者(重症児者)を対象として,日常生活における嚥下頻度と嚥下機能や肺炎の関連についての研究を実施した.対象は,医療福祉センターに入所する重症児者178名の内,1)20歳未満の者,2)進行性の神経筋疾患を有する者,3)家族の同意が得られない者,4)調査期間中に全身状態が安定せず主治医に本研究の参加が困難と判断された者を除外した62名(平均年齢46.9±13.2歳,男女比=31:31)とした. この62名の日常生活における嚥下頻度を測定し,1)重症児者の嚥下頻度の測定における評価者内・間の信頼性の評価,2)各被験者間での嚥下頻度の違い,2)被験者内での嚥下頻度のばらつきを評価した.嚥下頻度はこれまでと同様に喉頭マイクロフォンを用いた測定法を用い, 各被験者につき1日一回,測定日を変えて合計3回ずつ測定を行った. いずれの測定も午後2~4時の任意の1時間とし,食事と入浴以外の活動は制限しなかった.評価者内信頼性の評価は,1名の評価者が初回の解析から1週間以上期間をあけた後にデータを再解析することでおこなった.評価者間信頼性は,無作為に抽出した31名(被験者の50%に相当)のデータを2名の評価者が解析した結果で評価した. 嚥下頻度測定の信頼性については,評価者内・間信頼性の級内相関係数はそれぞれICC(1.1)で0.981,ICC(2.1)で0.936となり,評価者内・間のいずれも高い信頼性を示した. 62名の測定結果,全被験者の嚥下頻度は,平均22.9±22.9回/時,範囲は最小で1回,最大で111回となり,被験者間で広い範囲の値となった.一方,被験者内の嚥下頻度は3回の級内相関係ICC(1.1)は0.89(almost perfect)と高い信頼性を示し,同一被験者内であれば嚥下頻度は一定していることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により,研究フィールドである施設での活動に制限を受けることがあった.特に今年度は施設内でのクラスターの発生等もあり,内容・期間共に制限が厳しい時期があった.
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Strategy for Future Research Activity |
施設での活動制限が解除されれば,本研究の遂行に支障はないと考えている.今後は,嚥下頻度の測定結果を踏まえて,重症児における嚥下頻度と肺炎の関連を強さを検討していく 予定である.また,嚥下頻度の多寡が嚥下機能に与える影響についても検討を行う予定にしている.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染蔓延の影響で,国内外での学会参加,研究に関する打ち合わせ(特に現地開催)が激減したこと,フィールドワーク制限のため研究が予定どおりに進まなかったことが挙げられる.次年度は活動制限の解除に伴い,これらの活動にも研究費を使用する予定である.
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Research Products
(2 results)