2021 Fiscal Year Research-status Report
受動喫煙のバイオマーカーとしてのコチニンと幼児・学童のう蝕の関連についての研究
Project/Area Number |
20K10293
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 拓朗 九州大学, 歯学研究院, 共同研究員 (60868785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 美智子 九州大学, 歯学研究院, 講師 (20509591)
竹内 研時 名古屋大学, 医学系研究科, 客員研究者 (10712680)
竹下 徹 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (50546471)
山下 喜久 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20192403)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | う蝕 / 受動喫煙 / コチニン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は幼児・学童を対象として唾液中のコチニン濃度を測定し、受動喫煙とう蝕罹患の関係をコホート研究で検討し、さらに歯科健診を受診した子どもの保護者に対して禁煙指導を行い、喫煙行動の変化を評価することを目的としている。令和3年度は乳幼児健診で禁煙指導を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い中止し、受動喫煙とう蝕罹患の関係について解析を進めることにした。過去に学校歯科健診で採取した唾液試料を用いて、コチニン濃度を測定し、3年間のう蝕発症と関連があるかを検討した。小学6年生75人を分析対象にして解析した結果、中学3年生までに21人がう蝕を発症していた。唾液中のコチニン濃度は幾何平均値で0.21ng/mLで、受動喫煙の曝露が高いと考えられる1.00ng/mL以上の者は4人で、対象者は受動喫煙の曝露が比較的低いと考えられる。アンケート情報をもとに受動喫煙の状況を調べ、コチニン濃度との関連性をみると、両親とも喫煙していない児童に比べ、親が喫煙している児童では唾液中のコチニン濃度が高かった。マルチレベルコックス回帰分析の結果、間食回数、歯科医院への定期受診、フッ化物配合歯磨剤の使用などの要因を調整した後でも、唾液中のコチニン濃度が高いことは3年間のう蝕発症と関連していた(ハザード比3.39、95%信頼区間1.08-10.69)。う蝕関連細菌のStreptococcus mutansの菌数測定検査の結果も併せて解析したところ、コチニン濃度が高い児童ではStreptococcus mutansの菌数が多かった。児童の受動喫煙とう蝕の関係では、う蝕関連細菌が関与することが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
受動喫煙とう蝕罹患の関係をコホート研究で検討することができたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い乳幼児健診で禁煙指導を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は乳幼児健診で禁煙指導を実施し、その効果について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い乳幼児健診で禁煙指導を実施することができなかったため、次年度使用額が生じた。
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