2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the molecular mechanism by which neurodegeneration caused by tooth loss initiates Alzheimer's disease
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20K10296
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
後藤 哲哉 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (70253458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 信英 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (40432950)
白方 良典 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (60359982)
倉本 恵梨子 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (60467470)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ / 認知機能 / 三叉神経 / オートファジー / 加齢 / TDP-43 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究で、アルツハイマー病(AD)マウス(triple transgenic-AD mouse: 3xTg-ADマウス)を使った実験では、加齢に伴い三叉神経中脳路核(Vmes)におけるアミロイドβ(Aβ)の沈着が進み、加齢時に歯を喪失するとVmes神経細胞の一部が細胞死を生じ、その結果神経変性が青斑核―海馬と進みADを発症させるトリガーとなることを示した。 本年度は、加齢によって神経細胞中のAβの沈着を生じている部位がオートファジー様膜であったため、Aβとオートファジーとの関連を中心に調べた。その結果、神経細胞中のAβが沈着している膜はオートファジーのマーカーであるLC3免疫陽性であり、一部のAβ陽性オートファジー膜はミトコンドリアを含んでいた。3xTg-ADマウスはAβを過剰発現しており、結果的にAβとオートファジーとの関連が明らかとなった。現在、理化学研究所より供与を受けたAβを過剰発現しないAPPノックインマウスを用いて同じようなオートファジー機構が存在するかを調べている。 一方、Vmesのはたらきとして三叉神経の運動神経(Vmo)の調節がある。従って、歯を喪失した時のVmes-Vmo系にどのような影響があるかを、運動神経の神経変性を示すTDP-43を使って調べた。結果、Vmesがダメージを受けることによってVmesから直接投射を受けているVmoに神経変性を示すTDP43の核外移行ないしは三日月状の偏在が認められた。これらの結果により、歯の喪失はVmes-Vmo経路により直接的にVmoの神経変性を生じ、咀嚼筋活動に抑制的な働きをしていることが示された(Dhar et al, Acta Histochem Cytochem. 2021).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
理由 すでに当初予定の実験のほぼ8割程度は終わっており、現在は次研究の発展としてオートファジーとの関連を調べている。また、昨年度理科学研究所から供与いただいた新しいアルツハイマー病モデルマウスであるAPPノックインマウスを使っての研究もすでに進んでいる。また、Vmesの神経変性が直接的にVmoの神経変性を生じることが示されたので、ADモデルマウスを使って加齢による神経変性が咀嚼筋活動にどのように影響するかについても調べている。
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Strategy for Future Research Activity |
神経細胞内外のAβの沈着について3xTg-ADマウスとAPPノックインマウスとは明らかに違う局在の違いが認められた。すなわち、3xTg-ADマウスでは神経細胞内のAβの沈着が強く、神経細胞内のAβは弱かった。逆に、APPノックインマウスでは神経細胞内のAβの沈着は少ないが、神経細胞外でのAβの局在、特に老人斑の形成が早期に認められた。これらのADモデルマウス間の違いと、さらには毒性が強くアルツハイマー病の発症と関係が強いAβオリゴマーの局在も比較しながら、オートファジーを含む神経細胞の老化と、Aβオリゴマーの神経毒性によるADの進行との関連について調べる。
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Causes of Carryover |
参加予定していた学会がWeb開催になったためと、高額な抗体の必要量が減って物品費が少なくて済んだため予算通りの使用額に到達しなかった。また、新型コロナ感染の問題があり、学生に研究を行ってもらうことができなかったので、人件費使用額が0になってしまった。令和4年度は対面の学会の増加が見込められることと、令和3年度の研究を発展させるために新たな抗体の購入が見込まれるので、当初予算に令和3年度の繰越分を加えた予算で研究を行い、積極的な学会参加を行い、研究成果の公表に努める予定である。
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Remarks |
日本学術振興会科研費ホームページ「研究成果トピックス」及び所属研究分野のホームページに研究の概要を紹介した。
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Research Products
(9 results)