2020 Fiscal Year Research-status Report
Examination of methods by dental professionals to prevent malnutrition in the older adults
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20K10297
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
釘宮 嘉浩 東京歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (60844082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 貴之 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20366173)
平野 浩彦 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (10271561)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔機能 / 高齢者 / 口腔機能低下症 / オーラルフレイル / 栄養状態 / 後期高齢者の質問票 / 口腔機能類型質問 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】2020年度より使用が開始された後期高齢者の質問票には、咀嚼機能と嚥下機能を評価する2つの口腔機能類型質問が基本チェックリストから採用されている。しかしながら、それらの質問項目に該当した者の栄養状態は明らかにされていない。本研究では、地域在住高齢者を対象として、口腔機能類型質問の基となった基本チェックリストの質問項目の該当者の栄養状態を明らかにすることを目的とした。 【方法】地域在住高齢者511名(男性217名、女性294名、平均年齢73.1±5.6歳)を対象とした。後期高齢者の質問票の口腔機能類型質問の基となった基本チェックリストの2つの質問項目の回答を解析に使用した。2つの質問項目のうち、どちらか一方でも該当した者を口腔機能が低下している群(該当群)、該当しない群を非該当群と定義した。また、栄養素等摂取量の評価として、食物摂取頻度調査票を用いた聞き取り調査を行った。 【結果】該当群の割合は、全体で32.9%、前期高齢者で28.2%、後期高齢者で40.1%だった。該当群と非該当群の割合は、男女間で有意差を認めなかった。後期高齢者では、該当群の総エネルギー、たんぱく質エネルギー比、たんぱく質、パントテン酸、葉酸、ビタミンB6、ナイアシン、ビタミンK、銅、亜鉛、リン、マグネシウム、カリウム、食物繊維総量の摂取量が、非該当群と比較して有意に少なかった。 【結論】後期高齢者の質問票の口腔機能類型質問に採用された基本チェックリストの質問項目で地域在住高齢者の口腔機能を評価したところ、前期高齢者に比べ後期高齢者で口腔機能に不具合を訴える者の割合が高かった。また、口腔機能の低下を訴える後期高齢者では、複数の栄養摂取量が少ない傾向が示された。口腔機能に関する簡便な質問項目でも、該当者の栄養素等摂取量の低下を予測できる可能性があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画において、本研究の栄養状態の評価はGLIM(Global Leadership Initiative on Malnutrition)基準を用いることを予定していた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、重症化リスクの高い高齢者を対象とした大規模調査を2020年度に実施することは困難な状況であった。2020年度の研究活動の停滞を防ぐため、栄養状態のアウトカムをGLIM基準から骨格筋量指数(Skeletal Muscle Mass Index,SMI)、体格指数(Body Mass Index,BMI)等に変更し、対象者数および調査項目数を絞り、標準予防策を講じた上で調査を実施した。また、これまでに実施した過去の調査データを活用して新たな視点からの解析も行った。口腔機能と栄養状態に関してレトロスペクティブなデータ解析を実施し、次年度以降、縦断的に検討を行うための基礎資料を作成した。さらに、高齢者の口腔機能に関するエビデンスの蓄積のため、地方部在住高齢者における口腔機能低下症とオーラルフレイルの該当者率や、咀嚼能力の評価試料等に関しての検討を学術雑誌に報告した。 以上から2020年度の進捗状況は「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は大規模調査の実施が困難であったため、栄養状態に関する調査項目を当初予定していたものから変更して対応した。当初の研究計画で予定していた調査項目に関しては、観察期間を短縮し調査を実施する予定である。2021年度は、地域在住高齢者を対象とした大規模調査の実施を予定しているが、調査の実施が困難であった場合も想定し、実施計画の立案とレトロスペクティブなデータ解析を並行して進めていく。
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Causes of Carryover |
2020年度は、大規模調査で使用予定であった消耗品等の購入個数が減ったことに加えて、レトロスペクティブなデータ解析を行ったため、想定した予算額以下で研究を遂行できた。2021年度は、2020年度に予定していた調査の対象者も含めた大規模調査の実施を予定している。次年度繰り越しの残金は、消耗品等の購入および、新たに得られた知見の報告(学会発表や学術雑誌投稿等)での使用を予定している。
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[Presentation] 地域在住高齢者の口腔機能低下症の有病率および栄養関連指標の検討2020
Author(s)
五十嵐 憲太郎, 小原 由紀, 釘宮 嘉浩, 星野 大地, 白部 麻樹, 本川 佳子, 枝広 あや子, 伊藤 誠康, 大渕 修一, 渡邊 裕, 平野 浩彦, 河相 安彦
Organizer
日本老年歯科医学会第31回学術大会
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[Presentation] 五十嵐 憲太郎, 小原 由紀, 星野 大地, 釘宮 嘉浩, 白部 麻樹, 本川 佳子, 枝広 あや子, 飯塚 晃司, 伊藤 誠康, 大渕 修一, 渡邊 裕, 平野 浩彦, 河相 安彦2020