2020 Fiscal Year Research-status Report
健常者口腔から分離された新菌種のプロバイオティクスとしての可能性の検討
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20K10299
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
齋藤 真規 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (30434096)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新菌種 / 全ゲノム配列 / 歯周病原細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は全身および口腔の健康状態が良好なヒトの歯肉溝から分離した新菌種で,寒天培地上で赤色集落呈する細菌を<i>Pseudopropionibacterium rubrum</i>(SK-1株)と命名した(<i>Arachnia rubra</i>に改称)。色素には抗菌効果を発揮するものが存在するため,本菌と歯周病原細菌を共培養したところ歯周病原細菌に対する抗菌効果を認めるた。そこで抗菌因子を検索することは歯周疾患に対するプロバイオティクスとしての予防あるいは治療効果につながり,近年問題となっている医療費に対する削減に貢献できるものと考えた。また,本菌の抗菌因子を抽出・同定することは創薬開発の基盤にもなると考えた。 SK-1株は歯周病原細菌に対する抗菌効果を有する新菌種であり,ヒトにとって有益な菌(プロバイオティクス)である可能性が高い。全ゲノム情報を基盤として多面的な検索を行うことによって本菌株が産生する抗菌活性を保有する赤色の色素やバクテリオシン etc.抗菌因子を網羅的に同定することを目的とした。 現在,SK-1株の全ゲノム配列を次世代シークエンサーを使用して決定し,遺伝子予測解析(遺伝子領域予測およびアノテーション)を行っている。全ゲノム遺伝子配列はDDBJ(日本DNAバンク)に登録(公開日:2022年1月7日)している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来,当該年度は色素の同定を行う予定であった。SK-1株は赤色の集落を形成するが,培養条件によって白色を呈することがしばしばあった。効率よく赤色集落を形成させるために培地の種類,温度条件,酸素の有無など条件設定を行っが赤色集落を形成する効率の良い条件が得られず当初予定していた量の赤色集落の回収ができなかったから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の予定量になるように赤色集落の回収を行い色素の同定を行う。また,白色集落であっても細菌が細菌を殺すために産生する抗菌因子の1つであるバクテリオシンを保有している可能性があるため,色素以外にも多面的に抗菌因子の検索を行う予定であ。現在,全ゲノム遺伝子配列の決定が終了しているため,遺伝子配列を基にして既存のタンパク質をデータバンクなどから検索してバクテリオシン産生の可能性の有無を確認する。 また,赤色を呈する天然色素として知られるカロテノイド合成に関与する遺伝子群のオペロン構造について色素を産生することが知られている近縁の<i>Propionibacterium<i/>属菌と比較解析して色素の合成遺伝子を探索する。
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Causes of Carryover |
全ゲノム解析を行い遺伝子配列を決定したが現在使用中のPCではスペックが低く遺伝子解析用のPCを購入予定だった。しかし,英文校正費に多くの額を使用してしまい購入できなかったため次年度使用額が生じた。次年度は遺伝子解析用PCの購入の一部に充当する。
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