2023 Fiscal Year Research-status Report
健常者口腔から分離された新菌種のプロバイオティクスとしての可能性の検討
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20K10299
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
齋藤 真規 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (30434096)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 色素 / Arachnia rubra / 抗菌効果 / プロジギオシン |
Outline of Annual Research Achievements |
Arachnia rubra SK-1株は,健常人の口腔内から分離された赤色コロニーを形成するグラム陽性桿菌であり,歯周病原細菌に対して抗菌活性を示す。色素には抗菌作用を示すものがあることから,本菌株が産生する色素を解析した。全ゲノム遺伝子配列決定後、KEGGによるゲノム機能解析を行い、産生する色素を検索した。その結果,Serratia marcescensが産生する赤色色素であるプロジジオシンがデータベース上で検索された。TSY(Tryptic Soy supplemented with Yeast extract)寒天培地上で赤いコロニーを形成した菌株SK-1を採取し,メタノールを用いて抽出した色素をLC/MSで分析した。波長500nmのクロマトグラムに7種類のピークが確認された。各ピークについて,LC-MS/MSを用いた正確な質量から分子式を算出した。得られた分子式の構造を推定するためにSciFinder-nデータベースを使用した。検索の結果,いずれのピークもプロジジオシンと推定されたが、LC-MS/MS分析のプロダクトイオンスペクトルと一致する構造は同定されなかった。これらの結果から、 SK-1株が産生する7種類の赤色色素はSerratia marcescensに非常に類似したプロジギオシンの新規化合物である可能性が示唆された。 SK-1株の色素の抽出量が精製を行う量に足りなかったためSerratia marcescensのプロジギオシン標品を代替えとして歯周病原性細菌に対する抗菌作用をディスク拡散法を用いて検討した。プロジギオシン類には様々な効果が期待されており,抗菌効果があるとの報告もある。Serratia marcescensのプロジギオシンは供試したPorphyromonas gingivalisおよびAggregatibacter actnomycetemcomitansに対して阻止円を形成したことから抗菌効果があると判断された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
SK-1株の新規プロジギオシンの抽出・精製,NMR分析による分子構造の解析を行うことを目的としていたが,抽出量が少なく,昨年度から抽出を継続しているが精製工程やNMR分析へ供するに足りる量の色素を抽出できなかった。 精製した色素を使用して歯周病原細菌への抗菌効果を検討する予定だったが,代替え案として既に販売されていたSerratia marcescensのプロジギオシンを利用しようと考えた。しかしながら,ウクライナ情勢が色素の輸入に影響影響してしまい,材料が届くまでに約半年を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
Arachnia rubra(SK-1株)が産生する色素の解析として,7種の新規プロジギオシン類で最も検出量が多かった物質(ピーク3)にをメインのプロジギオシンとして精製し,NMR分析を行い,分子構造の解析および未知の化学物質としての同定を行う。精製されたピーク3の歯周病原細菌および齲蝕原性細菌への抗菌効果を検討する。齲蝕(虫歯)や歯周炎の予防を目的として口腔内への応用が可能か確認するために細胞毒性試験を行う。 。
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Causes of Carryover |
Arachnia rubraが産生する7種類のプロジギオシンと非常に類似しているSerratia marcescens</i>のプロジギオシン標品を輸入に比較検討を行おうとしていたが,ウクライナ情勢が関与して商品の確保に半年の時間を要した。 また,SK-1株は寒天培地に対して固着性であり回収が非常に困難であり,色素の精製に足りる量の菌体回収ができなかった。現在も継続的に菌体の回収を行っており,精製に足りる量が確保された際には精製およびNMRを用いた構造解析を行う予定である。
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