2022 Fiscal Year Annual Research Report
指定難病であるクローン病発症・増悪に関与するKlebsiellaの感染経路の特定
Project/Area Number |
20K10300
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
續橋 治 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (80333110)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Klebsiella pneumoniae / クローン病 / 分離・同定 / 炎症性腸疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の研究において,口腔由来のKlebsiella pneumoniaeが腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)により腸内に定着・増殖を起こした結果,本菌がヒトのTh1細胞を過剰に活性化させて炎症反応を惹起し,クローン病などの炎症性腸疾患発症に関与することが示唆された。本菌は口腔を含む消化管の常在菌と考えられてきたが,実際に全てのヒト口腔に常在しているか否かは判然としていない。そこで本研究では,様々な口腔試料から確実にKlebsiella属菌を検出するための選択培地の開発とKlebsiella菌特異的プライマーを用いたPCR法による精度の高い同定・検出法の確立し,本方法を用いて口腔内における本菌の分布を調査した。 ヒト口腔試料を対象としたKlebsiella属菌を高精度に検出するための選択培地の開発を行った。Klebsiella属菌の認定株7株を用いて,最もKlebsiella属菌の発育に適した基礎培地の検討を行った。次に,抗菌薬ディスクを用いた薬剤感受性試験を実施した。最も発育が良好であった基礎培地に,本菌の発育が阻害されない抗菌薬を添加した培地を口腔試料からKlebsiella属菌を検出するための選択培地とした。また,PCR法による同定に使用するKlebsiella属菌特異的プライマーの設計を行った。さらに,開発した選択培地を用いて,30名を対象にヒト口腔内におけるKlebsiella属菌の分布の調査を行った。 本研究において,Klebsiella属菌は被験者30名中で僅か1名からのみの検出に留まり,Klebsiella属菌にとって口腔は好ましい生息部位ではないと考えられ,経口感染により本菌は口腔に住み着くことなく通過し,好ましい生息場所と考えられる消化管・腸管などに感染・常在化するものと推察された。
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Research Products
(2 results)