2023 Fiscal Year Research-status Report
がん緩和ケアとしての鍼の応用可能性:歴史的対照群との比較およびナラティブの評価
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20K10334
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
増山 祥子 森ノ宮医療大学, 医療技術学部, 准教授 (10454688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 仁 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (10248750)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 鍼灸 / 緩和ケア / 緩和医療 / がん / 量的データ / ナラティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
地域の中核病院でがん患者に対する緩和ケアとして鍼施術を行った際に得られた既存のデータについて、改めて数値データと対話から得られた語り(ナラティブ)の記録について分析を行った。施術直後における自覚症状のVisual Analog Scale(VAS)の20%改善を臨床的に意味のある最小差(Minimal Clinically Important Difference、MCID)と定義した場合、MCID以上の差が見られた症例の割合は、疼痛67%、浮腫75%、しびれ60%、嘔気80%、こり88%、呼吸のしにくさ83%であった。ロジスティック回帰分析では、MCID以上の改善にして、年齢、性別、鍼灸受療経験、オピオイド使用のオッズ比に有意差は認めなかった。 患者との対話から得られた症状や心情の変化に関するナラティブついては、数値データの改善・不変・悪化とは必ずしも一致せず、ナラティブ独自の個別の評価が必要であると思われた。その分析手法については現在も検討中である。 この分析作業の対象となっている数値データは、前向き症例集積研究によって得られたものであり、対照群が存在しない。そこで比較検討が可能な先行研究のデータ(歴史的対照群)が存在するどうか、現在データベース検索と絞り込み作業を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナパンデミックの影響で当初の予定が遅れたことと学務が多忙だったため、申請時の予定より進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた数値データの分析結果を論文化して公開するとともに、適切な歴史的対照群が選出できた場合はその比較作業を行う。さらに、数値データでは示されていない患者のナラティブから臨床的に意味のある言葉を抽出し、がん緩和ケアにおける鍼治療の意義について記述的な手法によって質的な評価を試みる。
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Causes of Carryover |
作業が遅延して延長申請したため、2024年度に成果発表に関する活動に使用します。
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