2020 Fiscal Year Research-status Report
特定機能病院における医療安全の定量評価法の開発と有害事象に伴う追加的医療費の検討
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20K10342
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鳥羽 三佳代 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (60463923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 篤 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (20376734)
森脇 睦子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (40437570)
伏見 清秀 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50270913)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医療安全指標 / Quality Indicator / DPCデータ / 特定機能病院 / 医療安全 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療の質を定量評価する方法の1つとしてクオリティー・インディケーター(QI)が国内外で開発・計測されている。しかし、これらのQIが高度急性期医療における医療安全や有害事象モニタリングに適しているかを評価した報告はない。本研究では、高度急性期医療を提供する特定機能病院における医療安全を定量評価する手法の一つとして有害事象をモニタリングする指標の開発を行うこととした。 指標計測には共通の構造化データであるDPCデータを用い、パイロットケースとして研究代表者の所属施設(大学病院)で指標の計測とその精度検証(感度・特異度・陽性的中率・陰性的中率等の確認)を行った。さらに特定機能病院81施設のデータを用いて指標計測を行い、副次的に得られた医療費データを用いて有害事象に伴う追加的医療費についても試算も行った。 また、各分野でどのような事故等事案が発生しているのかを調査するため、日本医療機能評価機構が公表している医療事故情報収集等事業の医療事故情報集計表のデータを用いて事故発生状況等を分析した。 これまで精度が担保された特定機能病院に特化した構造化データを用いた指標開発はなされておらず医療安全がもたらすインセンティブを数値化する試みは世界的にも求められているところであり新規性を有する分析である。 また、DPCデータは様々な分野の臨床研究へ応用されているが医療安全分野への応用は限定的であることから本研究成果は医療安全分野におけるDPCデータ活用推進に一石を投じるものとなることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は膵臓腫瘍手術と乳腺腫瘍手術に関する指標を作成した。指標計測には共通の構造化データであるDPCデータを用い、パイロットケースとして研究代表者の所属施設(大学病院)で指標の計測を行い、有害事象発生率を算出する指標においてはその精度検証(感度・特異度・陽性的中率・陰性的中率等の確認)を行い特定機能病院81施設のデータを用いた指標計測を行い、ベンチマークを行った。 また、副次的に得られた医療費データを用いて有害事象に伴う追加的医療費についても試算も行った。 さらに次年度以降の新規指標作成のためどのような事故等事案が発生しているのかを評価する目的で過去10年分の日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業の医療事故報告書の分析を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はさらなる指標の開発を実施する。 また、特定機能病院と非特定機能病院における症例の背景因子(合併症の有無や周術期透析実施の有無等)の違いにも着目した指標結果解析を実施することで病院機能に応じた患者要因のリスクの違い等についても検討していく。
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Causes of Carryover |
本年度は新型ウィルス感染症流行の影響を受けて、国際学会をはじめとする学会への参加を取りやめるもしくは現地参加ではなくWeb参加にしたことから、学会参加費、交通費、宿泊費が当初見込みより大幅に減少した。次年度以降は、研究成果の積極的発表と論文作成、データ管理システム構築等に予算を使用する予定である。
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