2022 Fiscal Year Annual Research Report
特定機能病院における医療安全の定量評価法の開発と有害事象に伴う追加的医療費の検討
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20K10342
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鳥羽 三佳代 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (60463923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 篤 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (20376734)
森脇 睦子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (40437570)
伏見 清秀 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50270913)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医療の質評価 / patient safety / Quality Indicator / adverse event / process |
Outline of Annual Research Achievements |
特定機能病院の医療安全を定量評価する手法の一つとして、構造化データであるDPCデータを活用した指標を開発した。指標は合併症をはじめとした有害事象をモニタリングするアウトカム指標の開発に重点を置き、研究代表者が所属する施設(大学病院)でその精度検証も行った。 研究期間中に98指標を開発した。膵臓手術後の血管塞栓術または腹腔内膿瘍穿刺を要する膵液瘻発生率、乳癌術後の止血術または輸血を要する出血発生率等、Clavien-Dindo分類GradeⅢ以上の合併症について感度、特異度ともに90%程度の指標を作成することができた。 開発した指標のうち、22指標についてDPCデータ調査研究班の特定機能病院81施設のDPCデータを用いて計測を行った。本研究は特定機能病院に特化した指標の開発を目的としていたが、特定病院の特性を明らかにするためにも、最終年度は特定病院以外の急性期病院も計測対象とした。悪性腫瘍手術および大腿骨頭置換術における周術期口腔機能管理の実施状況に関する指標開発にあたっては、その効果についても解析をおこなった。悪性腫瘍手術においては、周術期口腔機能管理の実施は在院日数の短縮と生存退院と関連しており、大腿骨置換術における周術期口腔機能管理の実施は在院日数の短縮と術後感染(誤嚥性肺炎やSSI)の発生を抑制することが示唆された。一方で周術期口腔機能管理は特定機能病院以外の病院の方が積極的に実施されていることもわかった。総医療費については周術期口腔機能管理が実施されている群の方が高い結果となった。 トータルヘルスケアの観点から、特定機能病院では医科歯科連携の強化を推進する必要があり、本研究結果をベースとして今後は、プロセス指標のもたらす効果や医療経済的な視点での詳細分析の実施を計画している。
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