2022 Fiscal Year Research-status Report
尿蛋白クレアチニン比を用いた、新たな学校検尿システムの構築
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20K10344
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
坂井 智行 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50608784)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 学校検尿 / 尿β2ミクログロブリン / 先天性腎尿路異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】小児慢性腎臓病は若年発症であるほど成長発達等への影響が強く, 早期発見早期介入が望まれる. 小児慢性腎臓病の最多原疾患である先天性腎尿路異常 (CAKUT)では, 尿蛋白より早期に尿β2-microglobulin(uBMG)が上昇することが多く, 「学校検尿のすべて令和2年度改訂」では, 学校検尿3次精密検査でuBMG /Cr の測定が必須となった.現行の学校検尿では2次検尿まで所見のない場合にuBMG/Crの測定機会はないが, 2022年の研究では2次検尿で所見のない小学生の1.7%にuBMG/Cr上昇がみられること明らかにした(有所見者2.0%). 今回, 中学生の2次検尿でuBMG/Crの上昇率と検尿所見の有無との関連を調査した. 【方法】滋賀県の中学生で2019-2021年度の学校検尿受検者(計67,469名)のうち, 2次検尿受検者(計4,651名)の残余検体を用い, 検尿所見とuBMG/Cr上昇(0.35μg/mgCr以上)の関連を調査した. 【結果】uBMG/Cr上昇率: 3.0%, 検尿所見有(673名) 8.2%, 無(3,978名) 2.1%. 【考察・結論】中学生のuBMG/Cr上昇率は小学生の調査と同様に, 既報の尿蛋白/尿潜血陽性率と比べ高値であった(蛋白+以上 0.21%, 潜血+以上 0.22%: 小児保健研究. 2017. 93-99). 現行の学校検尿ではスクリーニング段階でuBMG/Cr上昇例を適切に検出できず, CAKUTを見逃している可能性がある. 今後uBMG/Cr上昇例において介入すべきCAKUTの有病率についての調査研究が必須である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度はCOVID19流行により, 通常どおりの学校検尿が実施困難であったが, 2021年度以降は従前から実施している滋賀県で実施される学校検尿の残余検体に 尿生化学検査を追加実施し, 腎疾患のスクリーニングに有用な検査項目を検討できているため(とくに先天性腎尿路異常の発見目的での尿β2- microglobulin)。
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Strategy for Future Research Activity |
現行の学校検尿には尿β2- microglobulinが含まれておらず, 先天性腎尿路異常の早期発見にシフトしてきている現状では腎疾患のスクリーニングとしては不十分であると考えられる。今後は尿β2- microglobulinを簡易的に計測する手法の確立や、尿β2- microglobulinの高値例と先天性腎尿路異常の有無について調査をおこなう予定です。
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Causes of Carryover |
COVID19流行のため2020年度が予定通りに学校検尿残余検体追加検査の実施が困難であった。このため2023年度の学校検尿での検査をおこなう予定である。
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