2021 Fiscal Year Research-status Report
A pilot randomized controlled trial of telecognitive behavioral therapy for parents of internet addicts.
Project/Area Number |
20K10350
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
堀田 英樹 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 准教授 (90303289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 栄司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00292699)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ネット依存 / 認知行動療法 / 保護者 / 遠隔医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】ネット依存の未成年者を持つ保護者を対象とし、遠隔からテレビ会議システムを用いて支援することで、ネット依存を軽減できるかどうかという有効性を検証することである。本研究では、ネット依存の状態にあるお子さんに対する直接の介入を行わず、そのお子さんの保護者に対してのみ、遠隔から支援・相談を行っていった。 【研究実施計画】対面で同意説明文書を保護者、およびお子さんに渡し、文書および口頭による十分な説明を行い、自由意志による同意を文書および口頭で得られた保護者を研究に登録した。試験のデザインは、ランダム化比較試験(認知行動療法群・待機リスト群)であり、割付に関してはコンピュータにより無作為に処理された。認知行動療法群では、保護者が遠隔での認知行動療法を週1回50分、12週連続で受けることになり、治療開始から13週時点ならびに24週時点で、保護者および未成年者本人の有効性、安全性評価のための主要評価項目に関する調査を遠隔で実施し、効果判定を行った。待機リスト群では、認知行動療法は受けず、12週間待つこととした。 【遠隔認知行動療法について】ネット依存未成年者の保護者は、Parent Trainingおよび認知行動療法の技法を応用した「コミュニティ強化と家族訓練(CRAFT)」に基づいた相談支援を行っていった。保護者はセッション終了時に、検査者側から提示されるホームワークを実施していき、未成年者とのコミュニケーションにおける問題点について解決を目指していった。 【評価結果の集積】現在、収集している評価項目は、未成年者本人が自記式質問紙により回答しているインターネット依存度テスト(IAT:Internet Addiction Test)を中心に、インターネット1日あたりの使用時間や、QOL指標である日本語版EQ-5D-5L等を未成年者本人、保護者双方から集めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、保護者(特に母親)に対する遠隔認知行動療法を中心に実施しているが、コミュニケーションに関しては、回数を重ねるごとに徐々に改善し、保護者の負担軽減につながってきていると考えられた。しかし、未成年者自身の生活・行動面については、今のところ大きな変化は見られていない結果となった。特に身体面では体重減少、精神面では昼夜逆転やひきこもり、学業・仕事面では過剰なネット使用による成績低下や退学、不登校等があった。 現時点までの保護者との関わりを通じて考察される点は、ネット依存の未成年者自身の問題もさることながら、総じて、保護者側の養育ストレスが高く、それが、未成年者への養育行動にも影響を与えている可能性がある。また近年,思春期の子どもに対する調査で、インターネット依存とADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)等の発達障害と保護者の養育スタイルとの関連が示唆されている。しかしながら、ネット依存の未成年者の保護者の養育スタイルについて調べた研究はない。 そこで関連研究として、子どものインターネット依存に与える保護者の視点の影響を検討するために、保護者から見たネット依存、発達障害などの情緒と行動の問題、養育スタイルについてWebアンケート調査を実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
【方法】対象者は、ネット調査会社を通じて募集された12歳から17歳までの子どもを持つ保護者600人とし、匿名のオンラインアンケートを実施した。調査は「あなたのお子さんはネットに依存していると思いますか」という質問に「はい」と回答した親300名(依存あり群)と、「いいえ」と回答した親300名(依存なし群)の2群に分けて行い、各群の参加者が300人になるまでアンケートを集めた。質問票は、(1)親子間ネット依存度テスト(PCIAT)、(2)1日のネット利用時間、(3) SDQ(子どもの強さと困難さアンケート)、(4) PSDQ(Robinsonらによる養育スタイル尺度)、(5) RQ(愛着スタイル尺度)であった。 【結果】依存あり群のPCIAT、1日のネット利用時間の平均値は、それぞれ依存なし群よりも有意に高かった。SDQのTotal difficulty score(TDS)は、依存あり群の方が依存なし群よりも有意に高かった。またPSDQの権威主義的子育ての得点は、依存あり群の方が依存なし群よりも有意に高かった。RQでは、両群間に有意差は見られなかった。 【考察】子どもがネット依存であるととらえている保護者は、子ども自身の情緒や行動の問題を認識している一方で、権威主義的な養育スタイルをとっている可能性があることを明らかにした。
なお、今回のWebアンケート調査と並行して、引き続き、ネット依存のお子さんを持つ保護者に対する遠隔認知行動療法も実施しており、千葉大学のホームページ、大学病院のチラシ等で、随時、研究協力者を募集している。現在までのところ、13名の保護者に協力していただいた。ここ数年は新型コロナウイルス拡大の影響もあり、当初の予定を若干下回る数で推移したが、今後は、研究結果を早急に取りまとめ、学会、雑誌等で発表していく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度は、本研究の最終年度に当たるため、試験結果の取りまとめ、統計処理等に費用を充てる予定である。また、主たる公表論文は英文誌に投稿する予定であるため、英語翻訳、校閲などの費用に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)