2020 Fiscal Year Research-status Report
医療経営・経済の融合に向けた基礎研究と研修教材の作成
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20K10372
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川渕 孝一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10308934)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医療経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
そもそも本研究は、経営学の実際的な知恵と経済学の厳密性を統合し、明確なフレームワークの下で医療界に有用なマネジメント・プラクティスのあり方を模索するものである。当初は、都合3年間で一定のアンケート調査及びDPC(Diagnosis Procedure Combination)関連データを使った定量的な分析を行う他、医療経営と医療経済から得た知見を利活用してケース作成並びにその有用性の検証を行う予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて研究計画の大幅な変更を余儀なくされている。そこで当初、最終年度に実施する予定だったケースの作成を行った。内容は今回の新型コロナウイルスと近似しているとされるSARS(重症急性呼吸器症候群)に中華人民共和国衛生部直属の中日友好病院がいかに対峙したかというもの。同院は1984年に日本国政府の無償援助により建設された病院で、1315の病床数と2600人の職員数(当時)を有する。その危機管理は国家をあげたもので、感染対策や病院組織体制の改変という観点からわが国の医療界にも一定の視座を与えるものと考える。但し、研究実施計画では、こうしたケースが有用か否かを検証したうえで、最終的に研修教材に落とし込むとしていたが、これも新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、研究代表者が、兼務する公益社団法人医療・病院管理研究協会が実施する各種セミナーが取りやめとなっており、実施できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の研究計画では、病院に一定のアンケート調査を実施する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて高い回収率が期待されないと判断した。そこで先に述べたように3年目に実施する予定だったケースを作成し、拙著「コロナ後の医療経済と日本(薬事日報社)」の第8章に上梓した。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染拡大を受けてわが国の病院の経営基礎構造が大きく変化している。そこで、コロナ終息を待って次の3点、①新型コロナの前と後で医療経営にどんな変化があったのか、②またその要因は何か、③どんな支援があれば医療機関は助かるかを明らかにすることを目指すが、研究続行が困難な場合には速やかに本補助事業廃止の申請を行う。
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Causes of Carryover |
当初、病院に一定のアンケート調査を実施する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて高い回収率が期待できないと判断して取りやめたため。本研究費が公金だということを鑑みて同調査はコロナの終息を待って慎重に実施する予定。
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