2021 Fiscal Year Research-status Report
Estimating quality of life changes based on machine learning methods
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20K10376
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 洋介 京都大学, 医学研究科, 教授 (30583190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大前 憲史 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (60645430)
後藤 匡啓 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 客員研究員 (80622894)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | QoL / 効用値 / 新型コロナウイルス感染症 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、前年度実施した、機械学習を用いたQoL推定に関する検討結果に基づき、コホートや既存の大規模データベースに含まれるからQoLを推定するための新規質問票調査を行った。具体的には、一般住民集団を対象に、QoLの予測に必要な情報の粒度の細かいコホートデータに含まれる変数群と、汎用性の高いレセプトならびにDPC、さらには健診情報から得られる変数群を合わせてデータを行った。その際には、世界における包括的QOLのデファクトスタンダードであるSF-36ならびに効用値を同時に収集した。その際には、以前の課題と同様のサンプルを含めるようにデザインを行い、経時的な推定も可能なデザインとした。また、新型コロナウイルス感染症の流行下において、コロナおイルス感染症の罹患状況(自身ならびに周囲を含む)、さらにはその影響による社会経済的状況の変化も検討する必要があることが予想されたことから、これらの因子とQoL悪化との関連性についても併せて疫学的な観点から検討を行った。
本年度の結果として、各種併存疾患や性年齢で調整した後も、新型コロナウイルス感染症罹患への不安を有することや、あるいは自身や家族および知り合いの罹患に関する状況と、各種QoL指標の低下との間に関連性があることが示唆された。同時に、収入の低下などの社会経済にかかる因子もQoLの経時的な低下に影響を与えうることが明らかとなり、QoLの一時点ならびに経時的な推定に関しても、これらの因子を考慮することの必要性を示唆する所見が得られた。 なお、QoLの推定に関するデータ収集については、令和4年度も再度追加調査を行い、3年間の縦断データとしてデータ量を増やしたうえで、経時的な分析を引き続き実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、実際のQoL尺度に基づく評価、ならびにその予測に用いる項目に関する調査を実施した。前年度、QoLの推定に用いられる変数に関する網羅的な検討では、経時的なQoL推定そのものが難しいのではないかとの結論になったものの、さらなる可能性を探るため、前課題のサンプルから連なる2年分の経時的なデータを蓄積・分析に着手した。最終年度の調査では、特定健診で取得可能な変数を再度測定する予定をしており、全データを合わせることでベースラインならびにその間の健康状態を含む、3年間の経時的にQoLの推移を追うことのできる使用可能なデータを構築することが期待できる。これらの経時的なデータにおける分析と、すでにアクセス可能なレセプト・健診情報を含むデータを両輪とすることで、最終年度においてQoL推定に関する一定の研究成果が期待できるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策としては、まず一時点でのQoLならびにQoLの経時的な変化の予測について、最終モデルを提案する。経時的な変化の予測については、推定精度に限界があることが予想されるが、その場合は、3年間のデータを各年度ごとのデータとして使用することで、一時点でのQoL予測精度を高めることを目指す。 また、新型コロナウイルス感染症の流行がQoLにも影響を与えていることを鑑み、推定モデルにその状況を加えることを検討している。実際予備的な解析では予測能が高まる可能性が示唆されており、時代に応じた研究成果を発信するように努める。 なお、本研究で得られたデータは、新型コロナウイルス感染症流行下におけるQoLの推移を大規模に見た貴重な経時的データであるともいえる。QoL推定という当初計画のみならず、QoLの変化の記述ならびにその低下にかかる分析的研究を実施し、日本国民の健康に関する社会的諸問題を明らかにすることで、国民の今後のQoL向上に資する研究としたい。
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Causes of Carryover |
前年度繰り越し額があったこと、また研究者同士が集まり理論的枠組みを検討することを予定していたが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、出張ならびに集会制限が各研究者の属する研究機関で発令されたため、経費削減となった。 次年度以降は、余剰経費を基に、経時的な追加のQoL調査を充実させる予定である。これらの一連のデータを基にして推定能を高め、さらには先述した日本における新型コロナウイルス感染症流行下におけるQoLの記述並びに分析的研究に役立てたい。
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