2020 Fiscal Year Research-status Report
IoTやICTを活用し、 AIによる介入を目指した生活習慣の遠隔指導の効果
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20K10377
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
米田 真康 広島大学, 医系科学研究科(医), 寄附講座教授 (30508130)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 遠隔医療 / IoT / ICT / 生活習慣 / 食事指導 / 運動指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】2型糖尿病患者にスマートフォンアプリケーション(スマホアプリ)を活用した電話による食事と運動の生活指導を実施(遠隔介入)することで、生活習慣や血糖コントロールなどが改善するかを検証する。 【方法】2020年4月から6月までの期間に、広島大学から遠く離れた3か所の地域の医療機関に通院中の60歳以上の2型糖尿病患者を対象とした。初回受診時に血液・尿検査、身体機能測定、食生活状況やロコモ25などのアンケート調査を実施した。血圧、体組成、歩数や運動実施頻度、食事記録写真のデータを独自のスマホアプリより取得し、管理栄養士が食事指導を、理学療法士が運動指導を電話で毎月1回、6か月間実施し、介入前(初回時)と介入6か月後とで比較解析した。 【結果】対象者10名(67.8±3.8歳)において途中脱落はなかった。HbA1c値は有意な低下を認めなかった(介入前7.2±0.5%、6か月後7.1±0.5%)。栄養素と食品群別摂取量について、油脂類が介入後減少傾向であったが、その他は介入前後で有意な変化を認めなかった。1日の平均歩数と1週間の運動実施頻度は介入後に有意に増加し、介入終了まで維持することができた(平均歩数:介入前6843歩、6か月後9225歩、運動実施頻度:介入前1.7日、6か月後4.0日)。BMIや身体機能(歩行速度や握力など)は介入前後で有意な変化を認めなかった。 【まとめ】4~6月開始から10~12月終了までの6か月間のスマホアプリを用いた電話による遠隔生活指導では、血糖コントロールや体格指数、食習慣、身体機能について明らかな改善効果はみられなかったが、平均歩数や運動実施頻度の増加から身体活動量や運動習慣の向上がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象者のリクルート期間中、2020年4月から5月に新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大のため、全国に緊急事態宣言が発令され、外出自粛や医療機関への通院間隔が開いたり、そして緊急事態宣言解除後もそれまでの通常とは異なった生活環境となってしまった。このことが対象者数がなかなか増えなかったり、また食事や運動の生活習慣に影響した可能性は大きいと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は参加する医療機関や地域を拡大して対象者数を増やし,スマホアプリをより使いやすいものに改訂する予定である。さらに2022年度には広島県全域に拡大し、糖尿病の遠隔医療による新しい医療連携体制の構築を目指す。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス(COVID-19)感染の影響で、研究協力施設(参加医療機関)に通院する糖尿病患者において、エントリーする研究対象者の人数が少なく、使用額が抑えられ、所要額に達しなかった。今後の新型コロナウイルス感染の状況にも大きく左右されるものの、2021年度は参加医療機関を拡大して対象者数を増やす計画であり、必要額は増えることが予想されるため、2020年度の残額(次年度使用額)を繰り越して使用する予定である。
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Research Products
(4 results)