2020 Fiscal Year Research-status Report
緑茶うがいによるインフルエンザ予防:ランダム化比較試験による濃度依存性の検討
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20K10382
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
山田 浩 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40265252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古島 大資 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (90615238)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インフルエンザ / 緑茶 / カテキン / うがい / ランダム化比較試験 / 急性上気道炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
661文字 インフルエンザは毎年、流行を繰り返す感染力が非常に強い急性上気道感染症であり、集団生活を営む学校での予防対策は感染の拡大防止の為、ことさら重要である。インフルエンザの予防対策としては、ワクチン接種、手洗い、マスクの着用といった方法が採られているが、必ずしも完全に感染を阻止できない現状がある。本申請者はこれまで、基礎研究で示されてきた緑茶カテキンのインフルエンザ感染抑制効果に着目し、インフルエンザ予防対策の補助手段として緑茶の飲用やうがいによる有用性を検討してきた。その過程で、緑茶の飲用による検討で用量依存性の発症減少データを示したものの、うがいに関しては未だ明らかでないといった課題が残された。 本研究の目的は、緑茶うがいのインフルエンザ予防効果を、うがいに用いる緑茶カテキン濃度の至適性に着目し、インフルエンザの発症リスクが高い年代であり且つ予防対策が社会的に重要である高校生を対象としたランダム化比較試験により検証することにある。本研究は、基礎研究で示されている緑茶カテキンの抗インフルエンザウイルス作用がヒトにおける補助的な予防手段と成り得るかを、緑茶うがいという簡便、且つ安全、安価な方法で検討することに意義並びに重要性がある。 2020(令和2)年度は研究の初年度であることから、静岡県教育委員会・校長会の協力を得て、研究を行う大前提となる実施計画書・説明文書・調査票・募集ポスター作成の入念な検討を行い、倫理審査委員会での審査・承認を得た。2021(令和3)年から実際に研究参加者を募り、臨床試験の実施に入る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
未成年者である高校生を対象とした臨床試験の遂行には成人の場合とは異なる困難さを伴うが、その企画・立案から実施計画書・説明文書・調査票・募集ポスターの作成を入念に行い、倫理審査委員会での審査・承認を得た。しかし、時はまさに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックな流行時期であり(予想していなかった)インフルエンザの発症激減状況となったため、実施計画の修正を余儀なくされた。具体的には、「インフルエンザだけでなく、COVID-19を含めた全ての急性上気道炎の発症を主要評価項目とし、その中でインフルエンザの発症を比較検討する(主要評価項目の変更により症例数設計も再計算し1200名に設定)」、「募集対象者を高校生だけでなく大学生にも拡大して募る」ことで、倫理審査委員会に変更申請した。今後はこの修正計画に基づき参加者募集を行い、予定通りのスケジュールで臨床試験を開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020(令和2)年度の結果を踏まえ、2021(令和3)年度は、参加協力を得た高校生または大学生に対し、十分なインフォームドコンセントによる文書同意(未成年者の場合は保護者から)得た後、研究への登録後、ランダム割付を行ない、水うがい(対照群)、低濃度カテキンの緑茶うがい(低濃度群)、高濃度カテキンの緑茶うがい(高濃度群)に均等に割付け、インフルエンザ流行シーズンに1日3回、3ヶ月間うがいを実施し、急性上気道炎ならびにインフルエンザの発症を比較検討する。得られた調査票をモニタリングにて回収し、データマネジメントによりデータの信頼性を確認した上で、統計解析処理を行なう。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行拡大によりオンラインでの打ち合わせ会議が増え、電子化の影響で紙媒体の資料作成が減ったことにより経費が予想以下であったため、翌年度に繰り越しが可能となった。 【次年度の研究費の使用計画】うがい用試験食品の購入費、実施計画の打ち合わせ会議費、被験者への謝金、データの統計解析のための統計ソフト代、データ保存用ハードディスク代、データ収集のための旅費・通信・運送費、データシートに入力・取り込みを行う作業の協力者への謝金、学会・論文発表のための資料代・旅費、論文投稿料・掲載料等に使用する。
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Research Products
(5 results)